[出典] “Attitudes of Algorithms: An Exploration of the Ethics of CRISPR Cas9 through the Lens of ChatGPT” D’Souza RF, Mathew M, Surapaneni KM. Indian J Clin Biochem. 2024-06-10. https://doi.org/10.1007/s12291-024-01242-8 [所属] Department of Education (UNESCO Chair in Bioethics), International Institute of Organisational Psychological Medicine (Melbourne), Kasturba Medical College (India), Panimalar Medical College Hospital & Research Institute (India)
CRISPR-Cas9ゲノム編集技術をめぐる議論は多面的であり、技術そのもの以外に、意図しない遺伝的影響、ヒト遺伝子編集における倫理的・法的考察、技術の潜在的悪用に関する懸念も、重要な問題である。著者らは今回、ゲノム編集とその懸念事項に関する情報をユーザーに提供する教育ツールとしてのChatGPTの可能性を評価すること、また、ゲノム編集に関わる医学的、倫理的、法的問題を分析する際に科学者や医療提供者を支援する倫理的意思決定支援システムとしての可能性を評価することを目的として、ChatGPT (ChatGPT3.5を使用) を評価した [出典Fig. 1参照]。
教育ツールとしての可能性を評価するため、ゲノム編集のさまざまな側面を掘り下げる11の自由形式の知識ベースの質問を用いた [出典Table 1参照]。また、個人的な信念や嗜好がゲノム編集に対する倫理的懸念に影響しないことを確認するため、5段階リッカート尺度 (Likert scale)による12の’attitude'ベースの質問を用いた [出典Table 2参照]。最後に、医学的、倫理的、法的考察を提供する際の解釈スキルを、4つのケースシナリオを用いて分析した [出典Table 3参照]。
研究チームがすべての回答を分析し、議論を経て、最終的な評点を導き出した。知識ベースのクエリでは、ChatGPTは良好なパフォーマンスを示したが、その正確さと深さを向上させる余地があった。 ’attitude’ベースの回答では、ゲノム編集に関する様々なステークホルダーの視点からの回答が提示された。解釈スキル分析では、ChatGPTは医学的な考察に優れていたが、倫理的な懸念と法的な考察ではいくつかの側面が欠けていた。
ChatGPTはCRISPR-Cas9の教育ツールとして有望であるが、一般市民と専門家の双方がゲノム編集技術の複雑さを理解していく上で、継続的な改良と開発が必要である。
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