[注] 本記事は’Cas12/13/14バイオセンサー’シリーズを引き継いだ’CISPRDx’の続き;2024年8月5日以後、CRISPR Dx論文紹介記事を日々独立の記事として投稿し、ここに各記事タイトルをURL埋め込みで適宜 (1週間〜10日程度の間隔で)リストアップしていく形式に変更
[更新履歴] 2024-10-06 19件; 2024-11-19 4件;以後, CRISPR Dx (3)へと続く
2024-11-15
Cas12aセンサーの出力系に, MoS2量子ドットを介した比色法を採用し、MPXVとHPVの高感度・高速検出を実現
2024-11-14
標的応答性ヘアピンDNAアクチベーターを設計することで, CRISPR-Cas12aによるマイクロRNA検出性能の向上を実現
2024-11-13
反復的crRNA設計とPAMフリー戦略により, 超特異的RPA-CRISPR/Cas12a検出プラットフォームが実現した
2024-11-08
プロピジウムモノアジド (PMA) 支援デジタルCRISPR/Cas12aアッセイによるサンプル中の生きた細菌の選択的検出
2024-11-04
キチン親和性とRPA-CRISPR/Cas12aワンポット反応を組み合わせた高速かつ高感度なカンジダ・アルビカンス検出法
2024-10-30
CRISPR/Cas12aとDNAナノケージに基づく二重成熟マイクロRNA応答性ロジック・バイオセンシング・プラットフォーム
2024-10-29
酵素フリーな増幅と単一粒子分析を組み合わせたアトモルレベルのmiRNAのCRISPR/Cas12aアッセイ
2024-10-27
オンサイトでの病原体検出を実現するCRISPR/CasまたはArgonauteとラテラルフローアッセイの組み合わせ
2024-10-26
CRISPR/Cas13aによるカイコの微粒子虫Nosema bombycisの視覚的検出
2024-10-25
スプリット型のcrRNAを利用することで, 前増幅無しでのCRISPR-Cas12aによるRNA検出を実現
2024-10-22
Cas12とCas13aの非正規トランス切断特性を利用してCRISPR Dxを強化
2024-10-20
[総説] 次世代のCRISPR/Cas超高感度診断ツール:最新動向と展望
2024-10-19
2つのCRISPR/Casシステムによ標的DNAが同時に標的DNAを剪断することでCRISPR Dxの性能を向上
2024-10-19
相補的ASOCRISPRエフェクターの協働によるナノ発色を利用したDNAベースの普遍的病原体アッセイ
2024-10-17
モデル指向で合成したCRISPR-Cas13aガイドRNAによる核酸検出の向上
2024-10-14
細胞外小胞 (EV) mRNAの突然変異プロファイリングを可能にする増幅法SCOPE
2024-10-13
CRISPR-GEM: CRISPR療法において摂動を与えるに最適な標的遺伝子の発見と評価を支援する新たな機械学習モデル
2024-10-10
crRNA末端の化学修飾を介して, CRISPR-Casによる核酸検出POCTの性能を向上
2024-10-10
凝集誘導発光蛍光ルミノーゲンを利用してCRISPR Dxの性能を大幅に向上
2024-10-04
CRISPR/Cas12aに蛍光アプタセンサーを組み合わせることで低分子の高感度検出を実現
2024-10-02
CRISPR応答性RCAベースDNAハイドロゲルバイオセンシングプラットフォームの限界を広げる
2024-10-01
Cas12aとCas13aによるウイルス核酸検出量子ドットレポーター
[20241001更新]
CRISPR-Cas12aにスプリット型crRNAを組み合わせることで, RNAとDNAの高感度・選択的・多重検出を実現
2024-09-28
食品からオクラトキシンAを高感度で検出するCas12aベースの間接的競合酵素結合免疫吸着測定法
2024-09-27
Cas12aシグナル増幅を含むトリプルモード・バイオセンシング・アッセイによるHPV-16の超高感度検出
2024-09-23
界面活性剤を加えることで、CRISPR-Cas12a, -12b, 13aのトランス切断活性を介したシグナル増幅を大きく亢進
2024-09-22
APOL1遺伝子リスク評価のためのCRISPR対応ポイント・オブ・ケア遺伝子型判定
2024-09-11
CRISPR-Cas13aとグラフェン電界効果トランジスタの融合により, 大腸菌O157:H7の迅速かつ高感度な検出を実現
2024-09-07
[レビュー] CRISPRシステムの標的認識機能をベースとするウイルスと癌バイオマーカーの検出法
2024-09-05
CRISPR/Cas13a, ナノザイム, 有機光電気化学トランジスタの融合によるmiRNA-21の高感度検出
2024-09-04
LAMP-CRISPR/Cas12bによるサルモネラ・ティフィムリウムのワンチューブ検出
2024-09-03
RNAもCas12aトランス切断活性のアクチベーター足り得ると確認し、生細胞内可動CRISPRナノロボットを構築
2024-09-03
デュアル・アプタマー近接ライゲーションを介したCRISPR-HCR反応による腫瘍由来EVの精密検出と癌診断
2024-09-02
RPA-CRISPR/Cas12aによる淋菌とセフトリアキソン耐性淋菌FC428クローンの同時検出
2024-09-01
PAMフリーCRISPR/Cas12fベースの病原体診断のための迅速なLAMP駆動鎖置換法
2024-08-31
深層学習対応マイクロ流体システムを用いたCRISPR/Cas12aベースのハイスループット統合分子診断
2024-08-29
新型コロナウイルスの家庭用診断キット
[20240829更新]
Cas9も, Cas12やCas13と同様なDNA/RNAトランス切断活性 (コラテラル活性)を帯びている
2024-08-26
高マンノース結合アプタマーとCRISPR/Cas12a装置の統合による細胞表面高マンノースのリモート検出法
2024-08-24
CRISPR-Dxでアンプリコンをスキャンし、環境DNAから絶滅危惧種の両生類を検出
2024-08-24
CRISPR/Cas14aとExo IIIのカスケードシグナル増幅に基づく腸炎ビブリオ・バイオセンサーを開発
2024-08-23
量子ドット・ビーズを用いたCas12aベースのLFAによる乳癌由来核酸の無増幅・高感度・迅速検出
2024-08-22
ctDNA検出のためのデュアルCRISPR-Cas12a多重カスケード増幅に基づく電気化学-蛍光バイモーダルバイオセンサー
2024-08-21
CRISPR/Cas12aのトランス切断活性とssDNAの末端保護の融合による汎用的でシンプルなタンパク質アッセイ法を実現
2024-08-20
ctDNA検出のためのデュアルCRISPR-Cas12a多重カスケード増幅に基づく電気化学-蛍光バイモーダルバイオセンサー
2024-08-18
キャピラリーを介したCRISPR/Cas12a応答性DNAハイドロゲル距離センサーによるHPV DNAの高感度視覚検出のための
2024-08-17
[レビュー]分子診断の最新動向:RCAとCRISPR/Casシステムのシナジー (2018-2024)
2024-08-11
RPA-CRISPR-Cas12aを介した多重遺伝子ドーピング候補検出を目的とする親水性/疎水性修飾マイクロチップ - 将来のオリンピックに向けて
2024-08-10
等温同時増幅にCRISPR/Cas13aシグナル増幅を組み合わせてSNPsの多重識別を可能にするワンポットRNA検出法 STACAS を開発
2024-08-10
スリーウェイジャンクションを介した3文字コード化SDAカスケードとCRISPR/Cas12aの融合による環状RNAの高感度検出
2024-08-09
[レビュー] ワンポットCRISPR Dx戦略の開発動向
2024-08-09
ローリングサークル増幅に基づく自己組織化による「GPSナノコンベヤー」を介して、メラノーマのイメージングならびに遺伝子/化学療法(CRISPR/DOX)の効果を実現
2024-08-08
CRISPR/Cas12aをベースに, タンパク質標的のワンポット検出を実現
2024-08-07
エキソヌクレアーゼIII/Cas12aカスケード増幅戦略とスマートフォンベースのポータブル蛍光検出器により, 市販のAFPストリップを複数のRNAのPOCTに再利用する
2024-08-06
CRISPR/Cas12aを利用した超高感度バイオセンサによるマイコトキシンの検出
2024-08-05
一塩基変異10種類を同時検出するマルチAS-PCR結合CRISPR/Cas12aアッセイ法
2024-08-04
PAIT効果:CRISPR/Cas12aの不都合なトランス切断活性を抑制するパドロック・アクチベーターを開発
[出典] "PAIT effect: Padlock activator inhibits the trans-cleavage activity of CRISPR/Cas12a" Lei X [..] Yu S. Biosens Bioelectron. 2024-07-25. https://doi.org/10.1016/j.bios.2024.116607 [所属] Zhengzhou U, The First Affiliated Hospital of Zhengzhou U;グラフィカルアブストラクト参照
CRISPR/Cas12aシステムは、そのトランス切断活性の特徴ゆえに、バイオセンサー開発においてますます使用されるようになってきている。タンパク質などの非核酸ターゲットの場合、標的分子のアプタマーに結合するように、Cas12aトランス切断活性のアクチベーターを設計する。しかし、アクチベーターはアプタマーによって完全に阻害されず、その結果、遊離したアクチベーターがかなりのバックグラウンド・シグナルを誘発する。一方で、遊離アクチベーターを低減するために、アプタマーを過剰に供給すると、検出感度の低減を招く。したがって、CRISPR/Cas12aシステムの応用をさらに拡大するためには、バックグラウンドシグナルが低く、非核酸ターゲットを高感度で検出するバイオセンサーを開発することが必要である。
鄭州大学の研究チームが今回、先行研究の環状crRNA [*1]とスプリット・アクチベーター [*2] にヒントを得て、自由な状態では、Cas12aのトランス開裂活性を立体障害を介して抑止する効果 (PAIT効果) 南京錠型 (padlock) アクティベーターを設計した。PAIT効果は、ターゲット存在下で、パドロック・アクチベーターが2つのスプリット・アクチベーターに分離されると消失する [*3]。
研究チームは、パドロック・アクチベーターの実現可能性を検証するため、Ca2+依存的に活性化するDNAzymeを用いたCa2+センサーを開発した。
Ca2+の存在下で、DNAzymeはその基質であるアデニンリボヌクレオチドで修飾されたパドロック・アクチベーターを切断し、Cas12aのトランス切断活性を誘発するスプリット・アクチベータを生成し、Cas12aのトランス切断活性を介して、蛍光が発光するに至る。
蛍光強度は10pMから1nMまでのCa2+濃度の対数に依存し、検出限界は3.98pMに達した。また、Mg2+、Mn2+、Cd2+、Cu2+、Na+、Al3+、K+、Fe2+、Fe3+の干渉はほとんどなく、Ca2+に高い選択性を示した。回収率は93.32%から103.28%、相対標準偏は1.87%から12.74%で、良好な精度と信頼性を示した。さらに、このセンサーは、ミネラルウォーター、粉ミルク、尿中といった実サンプルからのCa2+検出に適用可能であり、その結果は、フレーム原子吸光分析の結果と一致した。
PAIT効果は、CRISPR/Cas12aシステムの応用領域を拡大することが実証された。
[*]
“Topological barrier to Cas12a activation by circular DNA nanostructures facilitates autocatalysis and transforms DNA/RNA sensing” Deng F, Li Y [..] Goldys EM. Nat Commun. 2024-03-05. https://doi.org/10.1038/s41467-024-46001-8 [右図参照]- SAHARA (Split Activators for Highly Accessible RNA Analysis):"Programmable RNA detection with CRISPR-Cas12a" Rananaware SR [..] Jain PK. Nat Commun 2023-09-05. https://doi.org/10.1038/s41467-023-41006-1;2023-09-08 Cas12aのcrRNAの標的認識機構を深く理解することから、DNAとRNAの多重検出も可能にするSAHARAを開発
- パドロック・アクチべーターは、crRNAに相補的な2つのスプリット・アクチベーターを中間リンカーで繋いだ設計になっている。パドロック・アクチベーターは、両端のスプリット・アクチベーターがcrRNAに結合できても、リンカーの立体障害効果によりCRISPR/Cas12aのトランス切断活性を活性化するには至らない。Ca2+検出には、DNA 酵素と CRISPR/Cas12a システムのカップリングを応用した。DNA酵素の構造は、環状の触媒ドメインと両端の結合アームから構成され、2本の核酸鎖、EtNa DNA酵素と、中間のアデニンリボヌクレオチドで修飾された基質鎖が形成されている。Ca2+の存在下で、基質鎖がEtNa DNAzymeに切断される。ここでは、パドロック・アクチベーター修飾アデニンリボヌクレオチドを基質として用い、Ca2+検出用DNA酵素を形成した。Ca2+の存在下で、DNAzymeは触媒領域を持つ二次構造を作る。その後、DNAzymeはパドロック・アクチベーターP3mを切断して2つのスプリット・アクチベーターを分離し、これがCas12aのトランス切断を引き起こして蛍光を発生させた。
2024-08-03
RT-RPAとCRISPR/Cas12aによるヒトメタニューモウイルス (HMPV) の迅速なワンチューブ検出
[出典] "Rapid and One-tube detection of Human Metapneumovirus using the RT-RPA and CRISPR/Cas12a" Du Y [..] Ma D. J Virol Methods. 2024-07-20. https://doi.org/10.1016/j.jviromet.2024.115001 [所属] Bengbu Medical U, Shenzhen Children’s Hospital.
HMPVは、急性呼吸器感染症を引き起こす病原体であるが、HMPVに対する有効なワクチンや特異的な治療法はまだない。HMPVを治療し、感染拡大を抑制するためには、早期、迅速かつ正確な検出が不可欠である。
中国の研究チームは今回、HMPVのヌクレオプロテイン (N) 遺伝子を標的として、特異的なプライマーとcrRNAを設計し、RT-RPAとCRISPR/Cas12aを組み合わせることで、One-tubeアッセイを開発し、反応条件の最適化と迅速かつ視覚的な検出を実現した。
このアッセイにより、他の9種類の呼吸器病原体との交差反応性なしに、30分で1コピー/μLのHMPV検出を実現した。また、臨床検体を用いて検出性能を検証した結果は,RT-qPCRの結果と98.53%一致した。
2024-08-02
RPA-CRISPR/EsCas13dベースのワンポット・デュアル読み出しポータブルプラットフォームによるブタ日本脳炎ウイルス (JEV) の迅速・高感度・可視検出
[出典] "Rapid, sensitive, and visual detection of swine Japanese encephalitis virus with a one-pot RPA-CRISPR/EsCas13d-based dual readout portable platform" You D, Xu T, Huang BZ, Zhu L [..] Xu ZW. Int J Biol Macromol. 2024-07-24. https://doi.org/10.1016/j.ijbiomac.2024.134151 [所属] Sichuan Agricultural U, Key Laboratory of Animal Diseases and Human Health of Sichuan Province, ChongQing Academy of Animal Sciences, Key Laboratory of Animal Breeding and Genetics Key Laboratory of Sichuan Province, Livestock and Poultry Biological Products Key Laboratory of Sichuan Province, Sichuan Animal Disease Prevention and Control Center
JEVは蚊媒介性人獣共通感染症である日本脳炎 (JE) を引き起こすが、JEV感染に典型的な低ウイルス血症レベルは、RNA検出を困難にしており、効果的な制御と予防のためには、早期かつ迅速な診断法が必要である。中国の研究チームが今回、等温増幅法のRPAとCRISPR/EsCas13dターゲティング、および、視覚的な蛍光とラテラルフローアッセイ (LFA) による読み出しにより、JEVの迅速・高感度検出を実現した。
このポータブルなワンポットRPA-EsCas13dプラットフォームは、他の病原体との交差反応性なしに、1時間以内にわずか2コピーのJEV核酸を検出可能である。また、臨床サンプルでの検証で、リアルタイムPCRの結果と100%の一致を示した。
総合して、このプラットフォームはPOCTのツールとして有用であることが示された。
2024-08-01
crispr 2024-08-01 CreDiT: CRISPRとデジタル信号処理の統合により核酸のオンサイト検出を強化
2024-07-31
crisp_bio 2024-07-31 光活性化CRISPR-Cas12aにより, マイクロRNAの細胞周期依存性をシングルセルレベルで捉える
2024-07-30
CRISPR-Cas法医学:RT-RPA/Cas12a/LFAによる末梢血 (ALAS2マーカ)の迅速検出
[注] LFA (Lateral Flow Assay)
[出典] "Rapid detection of blood using a novel application of RT-RPA integrated with CRISPR-Cas: ALAS2 detection as a model" Su CW [..] Hsieh HM. Forensic Sci Int Genet. 2024-07-23. https://doi.org/10.1016/j.fsigen.2024.103098 [所属] National Police Agency, Central Police U, National Taiwan U, Flinders U (Australia)
台湾にオーストラリアが加わった研究チームが今回報告したアッセイは、体液から抽出したRNAをテンプレートとして用いるか、あるいはこの抽出ステップを省略し、疑わしい体液を直接アッセイに加える直接法のいずれにおいても、血液 (すべての末梢血と一部の月経血サンプル) 特異的なマーカを検出可能なことを示した (血液以外の体液 (精液、唾液、膣分泌液) は検出しない)。またLFAを利用することで遠隔鑑定が可能であるとした [グラフィカルアブストラクト参照]。
2024-07-29
温度制御されたマイクロ流体CRISPR診断法により, 梅毒病原体の迅速かつ自動的なPOCT
[注] POCT (point-of-care testing)
[出典] "Temperature-programmed microfluidic CRISPR diagnostics enable rapid and automatous point-of-care testing for syphilis" Shu B [..] Zheng H. Chem Eng J. 2024-07-21. https://doi.org/10.1016/j.cej.2024.154174 [所属] Dermatology Hospital of Southern Medical U, Guangzhou Key Laboratory for Sexually Transmitted Diseases Control
中国の研究チームは今回、温度制御による空気の膨張を介して、標的配列のリコンビナーゼポリメラーゼ増幅とCRISPR/Cas12aによるシグナル増幅をシームレスに統合し、30分で数DNAコピーの検出限界を持つスマートフォン対応の蛍光読み出しを実現した。
具体的には、熱応答性マイクロ流体カートリッジの合理的な設計を介して、外部からの駆動制御や、溶液を移動するといった人手を必要とせずに、前置増幅とCRISPR検出の温度差を利用してアッセイワークフローを実現している [グラフィカルアブストラクト参照]。
臨床検体 (n = 30) 中のTreponema pallidum DNA検出での検証では、定量的PCR法による結果に比べて、100 %の感度と100 %の特異性を示した。
2024-07-28
組み換えAAVゲノムの力価決定と組成解析を可能とする前増幅不要なCRISPR-Cas12aアッセイ法を実現
[出典] "An amplification-free CRISPR/Cas12a assay for titer determination and composition analysis of the rAAV genome" Yu L [..] Lian Cg, Wan Jz. Mol Ther Methods Clin Dev. 2024-07-18. https://doi.org/10.1016/j.omtm.2024.101304 [所属] Shenyang Pharmaceutical U, National Institutes for Food and Drug Control
中国の研究チームが、前増幅を必要としないCRISPR-Cas12aアッセイを開発・最適化し、rAAVゲノムの力価測定に応用し、109~1011 vg/mLの検出範囲内で高い精度と正確さを実現した。このCas12aアッセイとqPCRアッセイの結果に有意差は認められなかった。
Cas12aアッセイは一本鎖DNA基質と二本鎖DNA基質の両方で同様の活性を示した。この特徴に基づき、ポジティブセンス鎖とネガティブセンス鎖の力価を別々に測定したところ、インハウスのレファランスであるAAV5-INに対する力価との間に有意な差があることが明らかになった。
[関連文献]
[20240328更新] CRISPR-Cas12aを利用して増幅フリーかつ迅速なAAVゲノム定量化を実現;"Adeno-associated virus genome quantification with amplification-free CRISPR-Cas12a" Hetzler Z [..] Wei Q. Gene Ther 2024-03-25.
2024-07-27
[レビュー] CRISPR/CasおよびArgonauteヌクレアーゼに基づくワンポット診断法:戦略と展望
[出典] Review "One-pot diagnostic methods based on CRISPR/Cas and Argonaute nucleases: strategies and perspectives" Ye X [..] Feng Y, Liu Q. Trends Biotechnol. 2024-07-20. https://doi.org/10.1016/j.tibtech.2024.06.009 [所属] Shanghai Jiao Tong U
特定の核酸配列を標的とするCRISPR/Casやアルゴノート (Ago) タンパク質は、診断ツールのベースとされているが、その高い特異性と効率にもかかわらず、高感度な検出を達成するためには、多くの場合、コンタミネーションのリスクを伴う多段階の操作を伴う前増幅ステップが必要とされ、ポイント・オブ・ケア検査 (POCT) に向かない。そのため、1回の操作で前増幅と検出が可能な様々なワンポット検出法が開発されている。
上海交通大学の研究チームが、CasとAgoタンパク質を用いたワンポット検出の課題を概説し、いくつかの主要な実施戦略 (物理的隔離, マイクロ流体チップ, 熱活性化, 要素の最適化, ヌクレアーゼの特性の理解と改変, ガイドRNAの修飾 )を提示し、将来の展望について論じる。この総説は、この重要な分野に対する包括的な洞察を提供し、ヒトの健康にとって有益な検出法の改良の可能性を探るものである。
[構成]
- One-pot nucleic acid detection integrating amplification and nuclease sensing
- Basis and challenges of CRISPR/Cas- and Ago-mediated one-pot detection
- Current strategies for one-pot CRISPR-based detection
- Current strategies for one-pot Ago-based detect
- Concluding remarks and future perspectives
2024-07-26
児童の発熱が細菌由来かウイルス由来かを迅速判別する増幅不要のCRISPR Dx
[出典] "Amplification-free orthogonal CRISPR/Cas system for rapid discrimination of bacterial vs viral infection in febrile children" Liu F [..] Zhou F. Sens Actuators B Chem. 2024-07-19. https://doi.org/10.1016/j.snb.2024.136319 [所属] Hainan U, Southern Medical U
細菌感染症やウイルス感染症は、発熱児童が医療機関を受診する最も一般的な理由のひとつである。これらの症例のうち、抗生物質による迅速な治療が必要な細菌感染症は5〜10%に過ぎない。感染症の種類を特定するための迅速かつ特異的な方法がないため、治療が遅れ、抗生物質の誤用につながり、その結果、子どもたちの健康、さらには、世界の公衆衛生に薬剤耐性の脅威をもたらしている。
中国の研究チームが今回、CRISPR-Cas13aとCas14a (Cas12f) を組み合わせ、かつ、前増幅を必要としないRNAアッセイ法を構築し、2つの感染関連転写シグネチャーを同時に標的とすることで、細菌感染とウイルス感染を30分以内に識別できる迅速かつ高感度な方法を開発した。
- Cas13aとCas14aは標的RNAを認識すると、それぞれ、RNAとDNAをトランス切断する互いに直交するヌクレアーゼであることから、ワンポットで互いに干渉することなく、それぞれ、対応するシグナル・プローブを加水分解することが可能である。
- Cas13aについてもCas14aについても、標的RNAの複数部位を認識するガイドRNAを設計することで、他の酵素や増幅プロセスの助けを借りずに、効果的なシグナル増幅が可能になる。
- FTAカードをべースにしたサンプル処理法を開発し、全血から効率的に5-10分での標的RNA抽出を可能にした。
- CRISPR/Casシステムによる検出から結果判定までは20分である。
2024-07-25
超高感度オンチップRNA検出におけるCRISPR/Cas13aの最適化
[出典] "Unraveling the influence of CRISPR/Cas13a reaction components on enhancing trans-cleavage activity for ultrasensitive on-chip RNA detection" He Q [..] Gul I, Qin P. Mikrochim Acta 2024-07-17. https://doi.org/10.1007/s00604-024-06545-4
CRISPR/Cas13ヌクレアーゼをベースにしたCRISPR Dxツールが数多く開発されてきたが、中国の研究チームが今回、CRISPR/Cas13aのトランス切断活性に及ぼす要素の最適化を図り、オンチップ全反射蛍光顕微鏡 (TIRFM) を利用した高性能なRNAセンシングシステムを開発し、SARS-CoV-2合成RNAとシュードウイルスをモデルとしてその性能を実証した。
- Mg2+濃度、レポーターの長さ、crRNAの組み合わせを最適化することで、検出感度を著しく向上させた。
- 最適化された条件下で、マイクロタイタープレートリーダーを用いて100fMの未増幅SARS-CoV-2合成RNAを検出した。
- TIRFMベースの増幅のないRNA検出システムによって、さらに感度を向上させ、100aMまでのRNAを検出に成功した。
今回開発した手法は、SARS-CoV-2シュードウイルスRNAの検出により臨床応用の可能性が示されたが、既存のセットアップにわずかな変更を加えるだけで、あらゆる標的RNAを検出できる可能性がある。
[著者所属機関] Hangzhou Dianzi U, Tsinghua U, Shenzhen Third People's Hospital, Harbin Medical U, The People's Hospital of Guangxi Zhuang Autonomous Region, Animal and Plant Inspection and Quarantine Technology Center, Shandong U, Harbin Institute of Technology (Shenzhen), Shenzhen Bay Laboratory, UC Riverside, Hangzhou Dianzi U
2024-07-24
CRISPR/Cas12aコラテラル活性をベースとするセンサーに転写増幅法を融合させることで, HBVの高感度検出を実現
[出典] "CRISPR/Cas12a Collateral Cleavage-Driven Transcription Amplification for Direct Nucleic Acid Detection" Lee HY [..] Byun JY, Shin YB. Anal Chem 2024-07-17. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.4c01246 [所属] KRIBB, U Science and Technology (Daejeon), Chungnam National U, Apteasy MJ Inc (Korea), BioNano Health Guard Research Center (Daejeon)
CRISPR/Cas12aのコラテラル切断 (非選択的トランス切断) 活性を利用したシグナル増幅を介して高感度な核酸検出システムが考案されたが、多くの場合、前増幅を必要としている。韓国の研究チームは今回、CRISPR/Cas12aシステムとライトアップRNAアプタマーの転写に基づくシグナル増強とを組み合わせることで、前増幅なしに核酸を直接検出する方法を実現した。
B型肝炎ウイルス (HBV) の超高感度検出を目指して、ライトアップRNAアプタマーとkleptamer (Kb) RNAを転写するための2つのDNAテンプレートを設計した [グラフィカルアブストラクト参照]:
- ライトアップRNAアプタマー転写用のDNAテンプレートは、蛍光シグナル生成用のブロッコリーRNAアプタマーをコードする。
- Kb DNAテンプレートは、dsDNA T7プロモーター配列とブロッコリーRNAアプタマーのアンチセンス鎖をコードするssDNA配列からなる。
- これらに、HBVの配列を認識するとコラテラル活性を発揮するCRISPR/Cas12aを組み合わせるとKb DNAテンプレートのssDNAが切断される。
- その結果、ブロッコリーDNAテンプレートから、複数のブロッコリーRNAアプタマー転写物が生成され、それによって蛍光が増強される。
この戦略により、ヒト血清サンプル中の標的HBV dsDNA検出において、検出限界 22.4 fMを達成し、良好な精度、安定性という優れた感度と特異性を示した。
2024-07-23
ワンポットMIRA-CRISPRシステムによるB群溶血性レンサ球菌 (GBS) DNAの高速・ポータブル・高感度検出
[出典] "Fast, portable and sensitive detection of group B streptococcus DNA using one-pot MIRA-CRISPR system with suboptimal PAM" Zheng W, Tang H [..] Xie W, Dong W, Zan M. Talanta. 2024-07-18. https://doi.org/10.1016/j.talanta.2024.126574
[注] MIRA (Multienzyme Isothermal Rapid Amplification);GBS (Group B Streptococcus) は分娩時に乳幼児に垂直感染する可能性があり、乳幼児の健康を著しく脅かしている。
中国の研究チームが、GBSを精製することなく高感度、特異的かつ迅速に検出可能とするツールを開発した。サブオプティマルなPAMs基質を標的とするcrRNAを用いて、新規なRPA増幅技術であるMIRAとCRISPR/Cas12aシグナル増幅技術をワンチューブ反応に統合したMIRA/CRISPRワンポットシステムである。これによって、未抽出の子宮頸部分泌液サンプルからGBS病原体を検出することが可能になり、また、全検出工程が30分未満に短縮された。
このツールでは、蛍光検出法を介してLoD 32コピーと特異度 100%を達成し、また、ラテラルフローアッセイでは、直感的かつ携帯性に優れたGBS検出が実現された。臨床検体20検体 (うちGBS陽性8検体) での検証から、未精製の臨床検体からも検出可能であることが確認された。さらに、LFA法に基づく携帯型非装置型GBS検出装置を確立し、ラボではなく家庭でのGBS自己検査の可能性を示した。
[著者所属機関] [所属] Suzhou Institute of Biomedical Engineering and Technology CAS, Zhengzhou Institute of Biomedical Engineering and Technology, Medical Laboratory of Shenzhen Luohu People's Hospital, Institute of Health and Medicine (Hefei Comprehensive National Science Center)
2024-07-22
crisp_bio 2024-07-22 ヒトパピローマウイルス (HPV) の診断に, タイプI-A CRISPR-Cas3を利用
2024-07-21
CRISPR/Cas13aに応答するRNA架橋DNAハイドロゲル・キャピラリーセンサーによるRNAのポイントオブケア検出
[出典] "CRISPR/Cas13a-Responsive and RNA-Bridged DNA Hydrogel Capillary Sensor for Point-of-Care Detection of RNA" Wang H [..] Le C, Li Z. Anal Chem. 2024-07-13. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.4c02087 [所属] U Science and Technology Beijing, U Alberta (兼任);Figure 1参照
疾病診断やサーベイランスにおいて、携帯可能で費用対効果が高く、感度の高い核酸のポイントオブケア(POC)検出の重要性がますます強調されている。中国の研究チームが今回、特定のRNAを高感度で視覚的に直接検出する標題センサーを確立した。
このキャピラリーセンサーは、RNA架橋DNAハイドロゲルフィルム(約0.2mm±0.02mm; ~10 nL)をキャピラリーの先端に装填するだけである。CRISPR/Cas13aが標的RNAを特異的に認識すると、CRISPR/Cas13aのトランス切断活性によってハイドロゲルフィルム中のRNAブリッジが切断され、ハイドロゲルフィルムの分子透過性が高まる。
異なる濃度の標的RNAは異なる量のCas13aを活性化し、ハイドロゲル中の異なる量のRNAブリッジを切断し、それに応じてハイドロゲルの透過性が変化し、異なる量の標的RNAを含むサンプルは、キャピラリー内で異なる距離を移動する。この距離を視覚的に読み取ることで、核酸増幅や光学的または電気化学的検出装置を介さずに、標的RNAを定量的に検出することができる。
この手法は、鼻咽頭スワブおよび唾液サンプル中のSARS-CoV-2 RNAの検出において、RT-PCRと同レイドの性能を示した。また、ハイドロゲル中の対象分子の移動は定規を使って測定かのな距離のため、こPOCや現場での応用に有用である。
2024-07-20
CRISPR/Cas12aバイオセンサーによる血清サンプルから癌のバイオマーカー検出を実現する新たなプラットフォームを開発
[出典] "Proteome Fishing for CRISPR/Cas12a-Based Orthogonal Multiplex Aptamer Sensing" Li S [..] Liu Y, Tan W. J Am Chem Soc. 2024-07-15. https://doi.org/10.1021/jacs.4c03061 [所属] Hangzhou Institute of Medicine CAS, Hangzhou Institute for Advanced Study, Zhejiang U Technology, Tianjin U, Molecular Science and Biomedicine Laboratory (Hunan U), Institute of Molecular Medicine (Shanghai Jiao Tong U)
血清からのタンパク質バイオマーカーの検出は、血清の構成が極めてが複雑であるため、非常に困難であったが、中国の研究チームが、その課題を解決するプラットフォームCOMPASS (CRISPR/Cas12a-based orthogonal multiplex aptamer sensing)を開発した。
COMPASSでは、磁性ナノ粒子-タンパク質コロナ (magnetic nanoparticle-protein corona: MNP-PC) [*]と、多重化アプタマーパネルを、融合し、CRISPR/Cas12aバイオセンサーがアプタマーを介してタンパク質バイオマーカを認識する [グラフィカルアブストラクト参照]
非小細胞肺癌 (NSCLC) 血清臨床サンプルを用いて、COPASSの性能を実証したが、この過程で、NSCLC診断におけるパネルとして、4 out of nine (FOON)パネル (HE4, NSE, AFP, VEGF165を含む) が最も費用対効果が高く正確であることが明らかになった。
COMPASSによって、血清タンパク質の多重増幅に伴う問題と、血清中のアプタマー分解の問題を、回避でき、大規模コホート癌スクリーニングのための、簡便で費用対効果が高く、ハイスループットの診断プラットフォームを実現できる可能性が見えてきた。
[*] "Understanding the nanoparticle–protein corona using methods to quantify exchange rates and affinities of proteins for nanoparticles" Cedervall T, Lynch I [..] Dawson KA, Linse S. PNAS 2017-02-13.
2024-07-19
CRISPR/Cas12aトランス切断を誘発するToehold領域を介したウラシルDNAグリコシラーゼ活性検出法
[出典] "Toehold region triggered CRISPR/Cas12a trans-cleavage for detection of uracil-DNA glycosylase activity" Cui C, Guo G, Chen TH. Biotechnol J. 2024-07-10. https://doi.org/10.1002/biot.202400097 [所属] City U Hong Kong, Hong Kong Centre for Cerebro-cardiovascular Health Engineering, City U Hong Kong Shenzhen Research Institute.
DNAグリコシラーゼは、DNA分子から損傷した塩基や誤った塩基を認識し除去することにより、遺伝情報の完全性を維持するDNA修復過程において重要な役割を果たす酵素群である。塩基損傷修復経路における重要なDNAグリコシラーゼの一つであるウラシル-DNAグリコシラーゼ (UDG) の発現異常は、多くの疾患と関連している。
今回中国の研究チームが、toehold領域をCas12a切断活性のアクチベータとして利用するUDG活性検出法を提案した。
UDGによって生成されたヘアピンDNAプローブ (HP) 上の領域が、蛍光団とクエンチャーを結合したssDNAのCas12aによるトランス切断を誘導し、蛍光シグナルを発生させる [SCHEME 1引用右図参照]。
このプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)フリーのアプローチは、UDGの検出において0.000368 U/mLという低い検出限界と優れた感度と特異性を達成した。さらに、この方法は阻害剤のスクリーニングや複雑な生物学的サンプル中のUDGの測定に有用である。
2024-07-17
血中循環腫瘍細胞の高感度検出のためのマイルド還元活性化CRISPR/Cas12aシステムに基づく電気化学バイオセンサー
[出典] "An electrochemical biosensor based on mild reduction-activated CRISPR/Cas12a system for sensitive detection of circulating tumor cells" Sha L, Cao Y [..] Zhu S, Zhao J, Li G. Biosens Bioelectron. 2024-07-06. https://doi.org/10.1016/j.bios.2024.116550
葉酸受容体は乳癌で過剰発現する細胞表面受容体糖タンパク質の一種である。中国の研究チームが、葉酸受容体陽性CTCを高感度に検出するための電気化学的バイオセンサーを、マイルド還元アシストCRISPR/Casシステムに基づいて設計・作製した。
- 具体的には、まず、葉酸と細胞表面の葉酸レセプターとの間の強い親和性により、CTCを捕捉する葉酸官能基化磁気ビーズが調製される。
- 次に、細胞膜をマイルドな還元処理によって、遊離のスルフヒドリル基を多数露出させ、これをマレイミドDNAと結合させ、CRISPR/Cas12aのトランス切断活性が活性化された後、電気活性分子メチレンブルーで修飾された長鎖DNAがランダムに切断され、短いDNA断片となり、グラファイト電極上に捕捉され、CTC数に対応する高度に増幅された電気化学シグナルが生成される。
この電気化学バイオセンサーは、2細胞/mLという検出限界を達成しただけでなく、その優れた選択性と複雑な環境下での安定性も備えている。
2024-07-15
SHERLOCKにより, 融合遺伝子に駆動される白血病の迅速分子診断を実現
[出典] "CRISPR-based rapid molecular diagnostic tests for fusion-driven leukemias" Vedula RS [..] Lindsley RC. Blood 2024-07-08. https://doi.org/10.1182/blood.2023022908 [所属] Dana-Farber Cancer Institute, Broad Institute, Johns Hopkins U, Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical School, Fred Hutchinson Cancer Research Center, McGovern Institute, Harvard Medical School
本手法では、SHERLOCKを利用して、APL、Ph+ ALL、CMLなどの融合遺伝子同型白血病におけるRNA融合転写産物を検出する。患者サンプルと乾燥血液スポットで検証した結果、これらのアッセイは100%の感度と特異性を示した。最適化により、高度なラボ以外でも使用できるようになり、リソースの少ない環境でも迅速なポイントオブケア診断が利用できるようになった。この技術は、これらの治療可能な癌のタイムリーな診断と治療を促進することにより、転帰を改善することができる。
2024-07-13
POCTの観点からCRISPR Dxバイオセンサーにおけるシグナル読み出し技術をレビュー
[注] POCT (point-of-care testing; 簡易迅速検査, 臨床現場即時検査)
[出典] "Advances and challenges of signal readout systems in CRISPR-based biosensors for point-of-care testing of nucleic acid" Huang D [..] Xu Z, Fang X. Trends Analyt Chem. 2024-07-09. https://doi.org/10.1016/j.trac.2024.117856 [所属] Zhejiang U, Zhejiang U School of Medicine, Boston U;グラフィカルアブストラクト
中国を主とする研究チームが今回、ポータブルなシグナル読み出し法の観点から、過去数年間のCRISPR Dxを構成するCRISPR-Casシステムとシグナル読み出し技術の包括的レビューを試みた。
Cas9、Cas12、Cas13などの一般的なCasヌクレアーゼの構造と特性の簡潔な概要をまとめ、次に、蛍光、電気化学、グルコース、色などのシグナルを読み出すシステムを採用する代表的なCRISPRベースのバイオセンサーを要約する。
最後に、CRISPR Dxにおけるシグナル読み出し法における現在の課題と将来的な発展の可能性に関する洞察、および有用な検出ツールボックスへの統合の展望について提案する。
2024-07-11
2024-07-11 神経膠腫におけるIDH遺伝子型決定を, MRIに基づく予測とCRISPR/Cas12aに基づく検出を組み合わせることで, 実現
2024-07-06
一塩基ミスマッチCRISPRを用いた一塩基分解能アッセイ用トランジスタ
[出典] "One-Base-Mismatch CRISPR-based Transistors for Single Nucleotide Resolution Assay" Ma H, Tian Y, Kong D [..] Wei D. Biosens Bioelectron. 2024-07-02. https://doi.org/10.1016/j.bios.2024.116548 [所属] Fudan U, Shanghai International Travel Healthcare Center
SNVのアッセイにあたっては、感度と選択性のトレードオフを満足させるために、厳密な増幅条件、複雑な実験装置、専門の人材が必要とされる。復旦大学を主とする研究チームは今回、ウイルスRNA中のSNVを迅速かつ高選択的に検出するためのCRISPRベースのトランジスタ・バイオセンサーを開発した。
このセンサーでは、CRISPR-Cas13aタンパク質がグラフェンチャンネルの表面で標的SNV RNAを直接捕捉するように、crRNAに合成ミスマッチを導入する。このアプローチにより、トランジスタに高速の電気信号応答が誘導されることから、増幅やレポーター分子を必要としなくなった。
このバイオセンサーの標的RNAの検出限界は100μL中5コピーと、qPCRに匹敵し、動作範囲は、人工唾液中10〜5×105コピー/mLである。また、15分以内に野生型RNAとSNV RNAを識別可能である。さらに、10μLの口腔咽頭スワブ検体19件から、インフルエンザA, インフルエンザB, およびSARS-CoV-2のバリアントを特異的に検出することに成功した。
この研究は、CRISPR-トランジスタ技術が、現場に配備可能な核酸スクリーニングや診断のための高精度で高感度なアプローチであることを示した。
2024-07-02
RPA-CRISPR/Cas12a-G4比色アッセイにおいて, 深層学習を介した高精度画像認識・分類を利用することで, 遺伝子組み換え作物の迅速・ポータブル・高感度な検出を実現
[出典] "Rapid, portable, and sensitive detection of CaMV35S by RPA-CRISPR/Cas12a-G4 colorimetric assays with high accuracy deep learning object recognition and classification" Li X, Liu M [..] Hou J, Hou C, Huo D. Talanta. 2024-06-25. https://doi.org/10.1016/j.talanta.2024.126441 [所属] Chongqing U, Chongqing City Management College
遺伝子組み換えの迅速・高感度・ポータブルな検出は、農業の安全保障と食の安全に貢献する。中国の研究チームが、トランス遺伝子導入に利用されるCaMV35Sプロモーターの高感度、迅速かつポータブルな検出を実現するために、 標題のRPA-CRISPR/Cas12a-G-四重鎖比色アッセイ法を開発した。
Cas12a-crRNA複合体がRPA増幅産物を認識すると、Cas12aのトランス切断活性を介してG-四重鎖が切断され、G4-ヘミン複合体が過酸化物模倣酵素機能を失い、ABTS2-からABTSへの変換が触媒されなくなり、ひいては、ABTSの吸光度に基づいてCaMV35S濃度を定量可能になる。
RPA-CRISPR/Cas12a-G4アッセイを利用することで、45分の測定時間でCaMV35SのLoD 10 aMが達成された。深層学習による比色結果の高精度な分類を介して、肉眼よりも正確に微量 (0.01 %) のCaMV35Sを識別する。また、スマホ・アプリとして組み込むことで、ポータブルで迅速な写真識別も実現された。
こうして、低コスト (0.43ドル)、高精度、インテリジェントなトランスジェニック作物や食品の検査のツールが誕生した。
2024-06-30
DNA基質を介したCRISPR/Cas12aの自己触媒反応をベースとする迅速かつ前増幅不要な核酸検出
[出典] "Rapid and Amplification-free Nucleic Acid Detection with DNA Substrate-Mediated Autocatalysis of CRISPR/Cas12a" Zhou Z [..] Chen G, Xue H, Zhu H. ACS Omega 2024-06-21. https://doi.org/10.1021/acsomega.4c03413 [著者所属] The Seventh Affiliated Hospital of Sun Yat-Sen U, Shantou U, Fujian Cancer Hospital, Animal Husbandry and Veterinary Institute, U Kentucky, Shantou U, Guangdong Medical U, Xiamen Fly Gene Biomedical Technology Co Ltd
標題のDNA substrate-mediated autocatalysis of CRISPR/Cas12a (DSAC)システムは、ループベースのDNA基質をCRISPR/Cas12a複合体に加えることで生じるカスケード増幅効果を利用している。2種類のガイドRNAのうち、一方のcrRNA2はDNA基質上のASFV DNA配列を標的とし、もう一方のcrRNA1はヒトゲノムDNAなどの所望のDNA配列を標的とする [グラフィカルアブストラクト参照]。DSACは、読み出しとして、蛍光ベースおよび紙ベースのラテラルフローストリップを利用可能であり、実証実験では、ブタの血液サンプル中のアフリカ豚熱ウイルス(ASFV)をフェムトモル感度で20分以内に正確に検出することに成功した。
これまでの増幅を必要としないCRISPR Dxプラットフォームとは対照的に、DSACは、合理的に設計されたDNAオリゴヌクレオチドを加えるだけという、コスト効率が高く、簡便な検出法を提供する。
注目すべきは、一般的なASFVの塩基配列にコードされたDNA基質が、二重crRNA標的システムを通じてヒト核酸の検出に直接応用できることである。その結果、我々のシングルステップDSACシステムは、高感度、正確かつタイムリーなウイルス感染診断に向けたポイントオブケア診断ツールであり、ヒト疾患検出への応用が可能である。
2024-06-28
Cas12aによる核酸の電気化学的検出法を, レポーターとして銀ナノ粒子標識COFを利用することで改善
[注] COF (covalent organic frameworks / 共有結合性有機フレームワーク)
[出典] "Enhancing CRISPR/Cas-mediated electrochemical detection of nucleic acid using nanoparticle-labeled covalent organic frameworks reporters" Qian H [..] Wang S. Biosens Bioelectron 2024-06-23. https://doi.org/10.1016/j.bios.2024.116522
中空の球状COF (Hollow spherical COF: HCOF)は、銀ナノ粒子 (AgNP)-DNAコンジュゲートのナノキャリアとしてシグナル出力を向上させるだけでなく、CRISPR/Cas12aシステムのトランス切断のアクセス性と効率を向上させた。
標的DNAが存在すると、CRISPR/Cas12aシステムのトランス切断活性が誘発され、HCOF上のAgNPs-DNA結合体が急速に切断され、その結果、電気化学シグナルが顕著に減少する。概念実証実験において、ヒトパピローマウイルス16型 (HPV-16) DNAの高感度かつ選択的な検出を100fMから1nMの範囲で実現し、検出限界は57.2fMに達した。本手法は、crRNAの設計を変更するだけで、HPV-16 DNA以外の標的検出へと展開可能である。
2024-06-26
crisp_bio 2024-06-26 深層学習を利用して, CRISPR/Cas12aベースの診断のためのガイドRNA設計を強化
2024-06-25
HCRによる前増幅とCRISPR/Cas12aにより, 迅速・高効率, 高費用対効果, 高感度なATPセンサーを実現
[出典] "Sensitive aptasensing of ATP based on a PAM site-regulated CRISPR/Cas12a activation" Liang P, Lv B, Chen K, Li D. Mikrochim Acta. 2024-06-13. https://doi.org/10.1007/s00604-024-06477-z [所属] Nanjing Forestry U, Jiangsu Second Normal U
中国の研究チームが、CRISPR/Cas12aのアクチベーターに二重鎖プロトスペーサー隣接モチーフ (PAM) を分子スイッチとして組み込むことで、CRISPR/Cas12aシグナル増幅因子に組み合わせるHCR (ハイブリダイゼーション連鎖反応) におけるアロステリックプローブ結合 (Allosteric Probe-conjugated PAM site Formation) PAMサイト形成 (APF-CRISPR) を介したATP検出バイオセンサーを構築した [Scheme 1参照]。
ATP非存在下では、アプタマーを含むプローブ (AP) はステムループ構造をとり、HCRの開始が阻害され、一方で、ATP存在下では、ATP結合によりAPの構造が変化し、その結果HCRトリガー鎖が遊離し、多くのPAM部位を持つ長い二重鎖DNAが生成される。
二重鎖PAM部位の存在は、CRISPR/Cas12aの切断活性のトリガーとして有力であり、ATP依存でHCR産物に形成されるPAM部位によって、Cas12aのトランス切断活性が誘導されFQ-レポーターが切断され、蛍光シグナルが発生することで、ATP定量が実現する。
配列要素と検出条件を最適化することで、アッセイの検出限界 (LOD) は推定1.16 nMに、検出のダイナミックレンジは25-750 nMにたっし、アッセイ全体の所要時間は約60分であった。
さらに、このアプタセンサーの信頼性と実用性が、血清中のATP検出用の市販の化学発光キットと比較することによって実証された。
2024-06-23
Cas12aとCas13aによるインフルエンザウイルスの検出・鑑別
[出典] "CRISPR-Based Assays for Point-of-Need Detection and Subtyping of Influenza" Zhang YB [..] Myhrvold C. J Mol Ding. 2024 Jul;26(7):599-612. https://doi.org/10.1016/j.jmoldx.2024.04.004 [所属] Broad Institute, Harvard-MIT Program in Health Sciences and Technology, Princeton U, Harvard U, Harvard T.H. Chan School of Public Health, HHMI.
インフルエンザウイルスの多くの種、亜型、亜種を必要な時点で検出するためには、迅速性、感度、特異性を兼ね備え、必要最小限の装置で行える最適化された診断技術が必要とされている。これに応えるために、米国の研究チームが今回、CRISPRベースのRNA検出プラットフォームであるSHINE(Streamlined Highlighting of Infections to Navigate Epidemics)を開発した。
- 臨床的に関連性のあるインフルエンザウイルス (AおよびB) と亜型 (H1N1およびH3N2) の検出と鑑別のために、4種類のSHINEアッセイを設計・検証した。臨床サンプルでテストしたところ、これらの最適化されたアッセイは、定量的RT-PCRと100%の一致を達成した。
- 2種類のターゲットの同時検出を実現するCas12aとCas13aを併用するデュプレックスSHINEアッセイも開発し、それによって、抗インフルエンザウイルス薬オセルタミビルに対する耐性をもたらす変異 (H275Y) の2つの対立遺伝子の識別と、患者サンプル中のインフルエンザAとヒトRNAse Pの同時検出を実現した。
これらのアッセイは、インフルエンザの診断とサーベイランスを強化するために、臨床検査室以外でのインフルエンザ検出を可能にする。
2024-06-22_2
crisp_bio 2024-06-23 アクチベーター鎖のコンフォメーション変化を介してCas12aコラテラル活性を直接制御
2024-06-22_1
CRISPR/Cas9をベースとする大腸菌バイオセンサーによる飲料水中のカドミウム(II)の高感度・特異的検出
[出典] "CRISPR/Cas9-based engineered Escherichia coli biosensor for sensitive and specific detection of Cd(II) in drinking water" Wei Y [..] Jin M. Chemosphere. 2024-06-14. https://doi.org/10.1016/j.chemosphere.2024.142607 [所属] Military Medical Sciences Academy (China);グラフィカルアブストラクト参照
中国の研究チームが、水中の有害物質カドミウム(II)の高感度かつ特異的な検出を可能にする大腸菌バイオセンサーを開発した。CRISPR/Cas9遺伝子編集技術を利用して、プロモーターPmer、調節遺伝子merR (m)、ルシフェラーゼ遺伝子luxCDABE を大腸菌染色体にデュアルプロモーターで融合し、安定で環境に優しい全細胞バイオセンサー (whole cell biocensors) K12-PMP-luxCDABE -△cysI を構築した。カドミウム耐性遺伝子cysI のノックアウトは、Cd(II)に対する感度向上に寄与した。
この大腸菌バイオセンサーは、0.005-2 mg/LのCd(II)に対して良好な非線形応答を示し、検出限界は飲料水中のCd(II)の許容限界に達した。また、Zn(II)、Hg(II)、Pb(II)などの非標的金属イオンの影響を受けずにCd (||)特異的な検出を実現し、さらに、実際の飲料水サンプル中のCd(II)を検出する際には、バックグラウンド干渉を回避して優れた性能を示した。
2024-06-21
[レビュー] CRISPR-Casシステムに基づくバイオセンサーの多重化戦略
[出典] REVIEW "Multiplexed Detection Strategies for Biosensors Based on the CRISPR-Cas System" Wei C, Lei X, Yu S. ACS Synth Biol. 2024-06-11. https://doi.org/10.1021/acssynbio.4c00161 [所属] Zhengzhou U
核酸検出において、1回の反応で複数の標的核酸を同時に検出することが必要なアプリケーションが増加している。また、CRISPR-Casシステムが、高い特異性、高感度、および、柔軟なプログラム可能性により、核酸の検出に広く利用されている。しかし、CRISPR-Casシステムの多重化にあたっては、非特異的な副次的切断活性、限られたシグナル読み出し戦略、交差反応の可能性を検証・対策する必要がある。本総説では、CRISPR-Casシステムに基づく多重検出の原理、戦略、特徴についてまとめ、さらに課題と展望について述べる [グラフィカルアブストラクト参照]。
2024-06-20
Co-HIT: 複数の同一部位インデルを検出するワンポット超高感度ERA-CRISPRシステム (急性骨髄性白血病関連遺伝子) https://crisp-bio.blog.jp/archives/36037389.html
2024-06-19
λエキソヌクレアーゼによる選択的消化とCRISPR/Cas12aシグナル増幅に基づくmiRNA-155の検出
[出典] “Detection of MicroRNA-155 Based on Lambda Exonuclease Selective Digestion and CRISPR/Cas12a-assisted Amplification” Zhang H, Xu J, Liu S, Li H, Xu L, Wang S. Anal Chem 2024-06-11. https://doi.org/10.1016/j.ab.2024.115592 [所属] Jiangxi Normal U, Jiangxi Provincial Center for Disease Control and Prevention;
miRNA-155はヒト癌細胞においてアポトーシスを阻害する最も効率的なマイクロRNAの一つであり、多くの悪性腫瘍において過剰発現している。したがって、miRNA-155遺伝子を高感度で検出することで、癌の早期発見が実現する可能性がある。中国の研究チームは今回、5’リン酸化二本鎖を切断できるλエキソヌクレアーゼを用いて、miRNA-155遺伝子に結合できるヘアピンプローブを作成し、このプローブがCas12a酵素に認識されることで、Cas12aのトランス切断活性が駆動され、強い蛍光を発するに至るmiRNA-155バイオセンサーを作成した [グラフィカルアブストラクト参照]
このバイオセンサーの蛍光強度は標的濃度の対数と強い直線関係を持ち、検出限界は8.3pMに達した。さらに、このバイオセンサーは、血清サンプル中のmiRNA-155遺伝子の検出において、卓越した特異性、低偽陽性シグナル、高感度を示した。
2024-06-17
分割型アクチベータにヒドラゾンケミストリーを組み合わせたCRISPR/Cas12aバイオセンサーによる黄色ブドウ球菌 (SA)検出
[注] 出典論文ではこのシステムを”dual recognized CRISPR/Cas12a system / 二重認識CRISPR/Cas12aシステム”と称している。
[出典] “Modularization of dual recognized CRISPR/Cas12a system for the detection of Staphylococcus aureus assisted by hydrazone chemistry” Yang J, Zhao Y [..] Zhang J. J Hazard Mater. 2024-06-10. https://doi.org/10.1016/j.jhazmat.2024.134877 [所属] Shanghai U, Shanghai Jiao Tong U
二重認識CRISPR/Cas12aシステムでは、トランス切断活性を活性化するDNA鎖 (アクチベータ)を2つの部分 (TS1-NHNH2とTS2-CHO)に分割し、正確な二重標的認識を可能にするとともに、アクチベータ全長の形成にヒドラゾンケミストリーを導入した。すなわち、相補的な塩基対形成がもたらす近接効果により、ヒドラゾンケミストリーがアクチベータ全体の形成を促進し、CRISPR/Cas12aシステムの特異性を向上させ、SAの正確な分析に寄与する。
さらに、SA周辺にCRISPR/Cas12aが一時的に凝集することで、シグナルをさらに増幅し触媒効率を高めた。
二重認識CRISPR/Cas12aシステムは高感度、安定性、再現性、特異性を有し、複雑な基質中のSAを検出するのに成功した。また、クロロゲン酸やコンゴーレッドの阻害効果の評価についても、フローサイトメトリーと比較して良好な性能を示した。
2024-06-15
アセンブルPCRとCRISPRによる超高感度なリファンピン耐性結核菌アッセイ法
[注] リファンピン=リファンピシン (rifampicin)
[出典] “ACURAT: Advancing tuberculosis detection through assembled PCR & CRISPR for ultra-sensitive Rifampin-resistant analysis testing” Zheng R, Zhang L, Yu C [..] Ye F, Huang X. Chem Eng J 2024-06-11. https://doi.org/10.1016/j.cej.2024.152712 [所属] Wenzhou Medical U, Tongji U, Wenzhou Sixth People’s Hospital, Institute of Physics CAS
結核は依然として世界的な健康への脅威であり、また、臨床治療戦略が複雑にする薬剤耐性結核菌を迅速かつ正確な診断が必要とされている。WHO’s Global Tuberculosis Report 2022によると、世界中で推定1,060万人が結核を発症し、約41万例が薬剤耐性結核菌感染者であり、推定130万人が死亡した。中国の研究チームが今回、PCRとCRISPR-Cas9をベースとしたAssembled PCR & CRISPR for Ultra-sensitive Rifampin-resistant Analysis Testing (ACURAT)と称する結核菌の革新的な同定および抗生物質感受性検査システムを開発した
[Fig. 1引用右図参照]。
ACURATは、ネステッドPCR方式を採用し、わずか10コピーの結核ゲノムを高感度に検出する。さらに重要な点は、薬剤耐性結核菌の変異コドンでは、PAM配列がほとんど全てで欠損していることから、CRISPR-Cas9システムが機能するための必須要件であるプロトスペーサー隣接モチーフ (PAM) 配列を導入するために設計したプライマーを導入したことである [PAM-PCR; 挿入図右下参照]。さらに、1塩基の一塩基多型(SNPs)を識別するのに、完全一致sgRNAでは限界があることを認識し、sgRNAの3’末端に野生型遺伝子型では1塩基のミスマッチ、薬剤耐性遺伝子型では少なくとも2塩基のミスマッチを特徴とする、有意な選択性を有するmicro-mismatch CRISPR-Cas9システム [挿入図左下参照]を設計した。
その上で、ACURATのパラメーターを体系的に最適化した結果、19 ntのガイドRNA長、PAM配列との1 bpの距離、HiFi-Cas9の使用が効率を著しく向上させることが明らかになった。
ACURATはポリメラーゼβサブユニット遺伝子のコドン516、526、531、533において、薬剤耐性に関連する15の遺伝子型を識別することに成功した。ACURATは、効率的な結核診断の臨床的可能性を示し、また、他の配列認識シナリオにも展開可能なことを示した。
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