[出典] "Sponging of five tumour suppressor miRNAs by lncRNA-KCNQ1OT1 activates BMPR1A/BMPR1B-ACVR2A/ACVR2B signalling and promotes chemoresistance in hepatocellular carcinoma" Majumdar S [..] Banerjee S. Cell Death Discov. 2024-06-08. https://doi.org/10.1038/s41420-024-02016-0 [所属] Institute of Post Graduate Medical Education and Research, National Centre for Cell Science

 肝細胞癌 (HCC) の化学療法抵抗性がよってきたるメカニズムについては研究が進んできたが、ノンコーディングRNAの寄与については研究が進んで来なかった。インドの研究チームが今回、C型およびB型肝炎ウイルス (HCVおよびHBV) 感染肝細胞癌におけるlncRNA-miRNA軸を探索し、化学療法抵抗性に関与する分子機構を調べるとともに、肝細胞癌の潜在的治療標的の同定を試みた。

 HCVおよびHBV感染肝細胞癌患者の肝組織を用いたsmall RNAトランスクリプトーム解析とqRT-PCRによる検証の結果、miR-424-5p、miR-136-3p、miR-139-5p、miR-223-3p、およびmiR-375-3pが正常と比較して肝細胞癌で最も発現低下したmiRNAであることが明らかになった。各miRNAの標的を用いたin silicoパスウエイ解析により、これらのmiRNAはBMPシグナル伝達経路の遺伝子を標的とし、また、癌細胞の化学療法抵抗性、浸潤、遊走に影響を及ぼすことが明らかになった。

 In vitro RNAプルダウンアッセイから、lncRNA-KCNQ1OT1がこれらの5つのmiRNAと物理的に相互作用する共通制御因子であり、miRNAsを細胞質内に隔離し、化学療法抵抗性を促進することが明らかになった。また、CRISPR-Cas9を用いてHCC細胞のKCNQ1OT1を抑制すると、化学療法感受性が増強され、転移が減少し、マウスモデルでは腫瘍の退縮が観察され、lncRNA-KCNQ1OT1が肝細胞癌の治療標的となる可能性があることが示唆された。