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[出典] "Investigating the potential of X chromosome shredding for mouse genetic biocontrol" Bunting MD [..] Thomas PQ. Sci Rep 2-24-06-12. https://doi.org/10.1038/s41598-024-63706-4 [所属] U Adelaide, South Australian Health and Medical Research Institute, CSIRO Environment, Australian Centre for Disease Preparedness

 CRISPR-Cas9技術は、マウスのような脊椎動物の侵入種を駆除する、より効果的で倫理的に受け入れやすい戦略のベースになる可能性がある。有望な戦略のひとつはX染色体のシュレディングである。これは、子孫をオスに偏らせることで、メスを徐々に持続不可能に減少させるというアプローチであるが、この方法は昆虫で研究され、有望な結果が得られている。オーストラリアの研究チームは今回、ハツカネズミ (Mus musculus ) を対象として、配偶子形成の際にX染色体を持つ精子を特異的に排除するのに十分なDNA損傷を誘導することを目的として、X染色体上の繰り返しDNA配列を標的とするアプローチを検討した。

 安全とされるスプリット遺伝子ドライブのフォーマットに則って、精子形成の異なる段階においてCas9発現を誘導するための様々な雄性生殖細胞系列特異的プロモーターと、X染色体上の異なる反復配列を標的とする3種類のgRNAとの組み合わせを試験した [Figure 1参照]。

 その結果、強固なDNA切断活性と欠失誘導が確認されてのにも関わらず、明らかな雄性バイアスは観察されなかった。一部のトランスジェニック雄では、成熟したYを持つ精子へのわずかな偏りが検出されたが、これは子孫の著しい雄性偏りには結びつかなかった。その代わりに、減数分裂中にX染色体が切断されると、精巣の容積が小さくなり、精管が空になり、精子濃度が低くなり、不妊症になった。

 本研究は、齧歯類の遺伝的制御を目的とするにXシュレディングを成功させるために克服しなければならない障害を明らかにすることになった。すなわち、哺乳類の精子形成におけるCRISPR-Cas9活性のタイミングを制御することの重要性と、X染色体シュレディングに対する精母細胞の感受性を追究する必要があることが、明らかになった。

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