2024-07-18 Nature Biotechnology 誌Editorial記事を以下に追記:Editorial "Breathing new life into in vivo lung editing" 2024-07-08. https://doi.org/10.1038/s41587-024-02338-5

2024-06-18
初稿
[出典] 
  • 論文 "In vivo editing of lung stem cells for durable gene correction in mice" Sun Y, Chatterjee S [..] Siegwart DJ. Science. 2024-06-13/06-14. https://doi.org/10.1126/science.adk9428 [所属] U Texas Southwestern Medical Center, Case Western Reserve U School of Medicine, ReCode Therapeutics    https://recodetx.com.
  • 展望 "Gene editing flows to the lungs" Bulcaen M, Carlon MS. Science. 2024-06-13. https://doi.org/10.1126/science.adq0059 [所属] KU Leuven
 長期間持続する遺伝子治療を実現するためには、定期的にターンオーバーする分化細胞において然るべく遺伝子編集されたDNAが失われていくことを回避する必要がある。それには、組織に常在する幹細胞を然るべく編集することが有力なアプローチである。

 米国の研究チームは今回、選択的臓器標的 (lung selective organ targeting: lung SORT) 脂質ナノ粒子 (LNP)を介して、Cre recombinase (Cre) mRNA、Cas9 mRNA-sgRNA、およびABE mRNA-sgRNAを、肺幹細胞を含むすべての主要な肺細胞型に送達し、然るべき遺伝編集を実現した。

 特筆すべきは、編集された細胞が22ヵ月間長期にわたって持続することが定量的に示されたことであり、これまでの研究では達成できなかった長期間持続する遺伝子編集が実現したことである。また、ビトロネクチン受容体 (VtnR)であるαvβ3インテグリンを発現しているタイプの肺細胞において、編集効率が向上することも明らかになった。

 さらに、遺伝子治療における幹細胞編集のメリットは、嚢胞性線維症 (CF) 疾患モデルにおいて示された。SORT LNPを介した塩基編集 (NG-ABE8e mRNA-sgR553X LNP) により、マウス肺幹細胞におけるR553Xナンセンス変異が効果的に修正され、マウス腸管幹細胞由来のオルガノイドおよびCF患者由来のヒト初代気管支上皮における嚢胞性線維症膜貫通伝導調節因子(CFTR)の発現と機能が回復した。

 肺幹細胞における効果的なゲノム編集のこれらの知見は、遺伝性肺疾患における長期にわたる治療法創出の可能性を示している。

[補足 (展望記事から)]
 肺はガス交換のための広大な表面を構成することで、体に酸素を供給し、代謝を維持する。肺に問題が生じると、CFのような重篤な病気になる。CFに対する遺伝子治療の開発は、特にその投与が通常吸入を伴うため、困難なものとなっている。肺は常に過酷な外部環境にさらされているため、吸入された粒子や病原体を肺細胞に入れないようにする防御機構が備わっているからである。CF遺伝子治療の27件以上の臨床試験は、気道上皮のバリアを越えることができなかった。Sunらは、CFモデルマウスにおいて、CRISPR遺伝子編集ツールを含む肺標的脂質ナノ粒子 (LNP) により、吸入を介さずに、静脈内注射を介した気道への送達を報告している。この基底側ルートは、嚢胞性線維症やおそらく他の肺疾患を治療するために、気道障壁を突破する方法を提供するかもしれない [展望記事挿入図参照]。

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