[注] ABE (アデニン塩基エディター)
[出典] "Library-Assisted Evolution in Eukaryotic Cells Yield Adenine Base Editors with Enhanced Editing Specificity" Hsiao S [..] Liao J, Wu Y. Adv Sci (Weinh) 2024-06-14. https://doi.org/10.1002/advs.202309004 [所属] East China Normal U, The First Affiliated Hospital of Guangxi Medical U.

 原核生物をプラットフォームとする指向性進化法 (PACEとPANCE) によって誘導されたABE8eは、AからGへの変換において高い効率を示し、遺伝子治療への応用が期待されている。しかし、編集ウィンドウが広く、オフターゲット編集活性が高いため、治療用の正確な塩基編集への応用が制限されていた。

 中国の研究チームは今回、原核生物をプラットフォームとする指向性進化法で導出されるタンパク質は、ABE 1真核生物ゲノムの疾患関連SNPの補正には適さない進化バイアスが生じる可能性があることを考慮し[*]、真核生物 (K562細胞株)をプラットフォームとするタンパク質進化戦略を実施した [Figure 1の一部を右図に引用]。

 ターゲットとなるアデニンを特定の配列コンテキストに組み込んだsgRNAを用いて、TadAバリアントを真核生物システムを用いて直接スクリーニングした。また、指向性進化法による変異誘導の限界を克服するために、デアミナーゼ活性ドメインにアクセスするTadA配列を含む合成スクリーニングライブラリーを使用し、進化をより頻繁に、より大規模に行った。

 その結果、ヒト293T細胞とHepG2細胞において、ABE8eと比較して、ABE 4より狭い編集ウインドウ (プロトスペーサーから4~7塩基の幅)、最小限のバイスタンダー編集、および同程度か僅かに高い編集効率を実現するバリアント4種類 (ABE8e-Mut14, ABE8e-Mut15, ABE8e-Mut25, およびABE8e-Mut32) を得た [Figure 4引用右図参照]。さらに、これらのバリアントは、プラスミドまたはmRNAとしてヒト細胞に導入された場合、オフターゲット編集のイベントが減少した。

 本研究は、真核細胞をプラットフォームとする変異ライブラリー支援タンパク質進化法を確立し、ヒトゲノム編集のための効率的なツールとして、新たなABEバリアントを樹立した。
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