[出典] "Directed-evolution mutations enhance DNA-binding affinity and protein stability of the adenine base editor ABE8e" Zhu H [..] Huang Q. Cell Mol Life Sci. 2024-06-14. https://doi.org/10.1007/s00018-024-05263-7 [所属] Fudan U

 ABE8e 1CRISPR Casニッカーゼとアデニンデアミナーゼからなるアデニン塩基エディター  (ABE)は、A:T-to-G:C変換を実現する。ABE8eは、ABE7.10からの進化型であり、そのアデニンデアミナーゼTadA8eに8つの変異が加わり塩基編集活性が著しく向上した進化型である [Fig. 1引用右図参照]。しかし、8種の変異の機能的な意味は不明であった。中国の研究チームが今回、分子動力学(MD)シミュレーションと実験的測定を組み合わせて、塩基編集触媒反応における指向性進化法で誘導された変異の役割を調べた。
  • MDシミュレーションから、TadA8eのDNA結合親和性は、ABE7.10のTadA7.10のそれよりも高く、また、主に静電的相互作用によって駆動されていることが明らかになった。
  • 指向性進化誘導変異は、DNA結合領域の正電荷密度を増加させ、それによってTadA8eのDNAに対する静電的吸引力を増強させていた。ABE8e 4
  • また、R111、N119、N167がDNA結合を増強する鍵となる変異であることが同定され、[Fig. 4引用右図参照]これは、マイクロスケール熱泳動 (microscale thermophoresis: MST) とin vivoでの復帰突然変異実験によって裏付けられた。
  • さらに、予想外なことに、指向性進化誘導変異が、TadA8eの熱安定性 (Tm/融解温度) を12℃向上させ、ABE8eの熱安定性〜9℃向上させることが、見いだされた。