[出典] "A modified glycosylase base editor without predictable DNA off-target effects" Lian M [..] Qin C, Lai L, Zhou J, Zou Q. FEBS Lett 2024-06-30. https://doi.org/10.1002/1873-3468.14970 [所属] Chinese Academy of Medical Sciences & Peking Union Medical College, Research Unit of Generation of Large Animal Disease Models, Wuyi U, Guangzhou Institutes of Biomedicine and Health CAS.
GBE [*1]は、哺乳動物細胞においてオリジナルのシトシン塩基エディター (CBE)では実現されなかったトランスバージョン (C-to-G変換) を誘導可能なことから、ヒトの遺伝性疾患の治療に大きな可能性を示している。しかし、その塩基変換効率には限界があり、また、Cas9によるオフターゲット効果の可能性もあるため、臨床応用の可能性が限られている。
著者らの最近の研究では、nCas9とデアミナーゼを分離して、それぞれsgRNAとTALEで標的部位に誘導することにより、編集効率を損なうことなくかつオフターゲット編集を抑制可能なTaC9-CBEおよびTaC9-ABEの開発に成功していたが[*2]、今回、デアミナーゼ改変体YE1とUNG (ウラシルDNAグリコシダーゼ)-nCas9をそれぞれTALEとsgRNAによって標的部位に誘導するTaC9-GBEYE1と称する新規GBEを開発した。
TaC9-GBEYE1は、19箇所の標的部位において、従来のGBEと同レベルのオンターゲット編集効率を示し、Cas9やTALEに伴うオフターゲット効果は見られず、遺伝子治療のための安全なツールであることが示された。
[*1] GBE関連crisp_bio記事
- 2024-07-03 ウラシルDNAグリコシラーゼ変異体を利用してデアミナーゼフリーなT-to-S塩基エディターおよびC-to-G塩基エディターを開発.
- 2022-07-22 Joungグループ, BE4max (C-to-T)をCGBE1(C-to-G)へと変身させた.
- 2022-07-22 天津グループ、C-to-AとC-to-Gのトランスバージョン変換を実現.
- 2022-05-24 CGBEとABEを融合したデュアル・デアミナーゼ塩基エディターにより,複数の編集パターンを持つ飽和変異体ライブラリーを作製
- 2022-04-11 トランスバージョン (C-to-G変換)を実現したGBEの効率と純度を高めたGBE2.0を開発.
- 2021-07-02 効率の高いトランスバージョン・エディター"CGBE"を,効率に関わる内因性因子の同定を介して実現.
[*2]
"Eliminating predictable DNA off-target effects of cytosine base editor by using dual guiders including sgRNA and TALE" Zhou J, Liu Y, Wei Y, Zheng S [..] Zhang K, Lai L, Zou Q. Mol Ther 2022-04-20. https://doi.org/10.1016/j.ymthe.2022.04.010
予測可能なDNAオフターゲット効果は、シトシン塩基エディター (CBE) を適用する際の安全性に関する主要な懸念事項の一つである。中国の研究チームが今回、Cas9に起因するオフターゲット効果を排除するために、UGI-nCas9-sgRNAに、転写活性化因子様エフェクター (TALE)-YE1 [*]を組み合わせたCBEシステムを設計した。すなわち、Cas9ニッカーゼ (nCas9) とシトシンデアミナーを同じ標的部位へと、それぞれ、sgRNAとTALEによって誘導され、塩基変換が進行する [グラフィカルアブストラクト参照]。
[*] YE1は、ABOBEC1変異体の一種 (W90Y+R126E)
このアプローチでは、nCas9がsgRNAによって誤った部位に誘導されると、デアミナーゼが存在しないため塩基変換が進行しない。同様に、デアミナーゼがTALEによって誤った部位に誘導された場合、nCas9によって誘導される一本鎖DNAが存在しないため塩基変換が進行しない。このようにして、Cas9およびTALE依存性のDNAオフターゲット効果を完全に排除することができる。さらに、TALEと、Cas9非依存的なオフターゲット効果を最小化するシチジンデアミナーゼであるYE1を融合させることで、Cas9やTALE依存的なDNAオフターゲット変異を検出することなく、効率的なC-to-T変換を誘導できる新規CBEを確立した。
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