[出典] COMMENT "Dismantling cost and infrastructure barriers to equitable access to gene therapies for sickle cell disease" Sharma A, John TD. Lancet Haematol. 2024-07-01. https://doi.org/10.1016/S2352-3026(24)00175-3 [所属] St Jude Children's Research Hospital, Hematology, Oncology, Stem Cell, and Regenerative Medicine (Stanford U)

 鎌状赤血球症 (SCD)は、世界で最も蔓延している遺伝病である。2023年、ランセット血液学委員会 (Lancet Haematology Commission)は、SCD患者の予後を世界的に改善するための12の重要な勧告を行った。その中で、SCD治療における非道徳的な格差の解消を様々な利害関係者に行動を呼びかけ、今後10~20年の間に、世界中のSCD患者全てが等しく治療を受けられるよう勧告した。しかし、この目標を達成するための直接的な道筋は、まだ見えていない。

 2023年後半に、2つの遺伝子組換え細胞療法, exagamglogene autotemcel (exa-cel/CASGEVY™) とlovotibeglogene autotemcel (LYFGENIA™)が画期的な規制当局の承認を得たが、その後、高所得国 (high-income countries: HICs)内に重点を置いて、これらの製品の積極的な商業的進出が進められている。

 これらの治療法が開発された国と異なる、主に低・中所得国 (low and middle-income countries: LMICs)の医療制度に既存の治療製品を輸出することは、すぐには実現不可能である。また、HICsにおいてさえ、遺伝子組換え細胞治療の将来は、過剰で手の届かない経済的負担とみなされた結果、危機に瀕する可能性がある。

 SCDに対する画期的な治療法の開発と世界的な利用可能性への挑戦は、人種的・ 階級的格差、社会的不平等、地理的障壁、文化的信 念、そして政治的・公共的意思、財政投資、 医療資源の配分と利用の恒常的な欠如に結びつ く偏見に起因する。多様な関係者の関与は、製品の商業化を支援する可能性があり、世界各地での持続可能性は、金銭的な面でも、現地主導の斬新なプロセス開発を通じてでも、取り組まれる必要がある。社会として、私たちは批判的に考え、協力的に行動することで、現在の医療提供モデルやHICsによって定義された医療利用慣行から生じる排他性を理解し、緩和しなければならない。