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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[注] CRISPRa (CRISPR転写活性化);PROTAC (proteolysis-targeting chimera / 標的蛋白質分解誘導キメラ化合物)
[出典] "A CRISPR activation screen identifies FBXO22 supporting Targeted Protein Degradation" Basu A [..] Zhang X. (bioRxiv 2023-09-16) Nat Chem Biol. 2024-07-04. https://doi.org/10.1038/s41589-024-01655-9 [所属] Northwestern U

 標的タンパク質分解 (TPD) は、細胞内在の分解機構を活用して、目的とする特定のタンパク質を薬理学的に除去する、強力なケミカルバイオロジーのパラダイムである。TPDを促進する複数のE3リガーゼが発見されているが、このような応用に利用可能なE3リガーゼのプールを多様化することが強く求められている。

 ノースウエスタン大学の研究チームは今回、ヘテロニ機能性 (heterobifunctional) 化合物を介した標的タンパク質の分解を促進できるE3リガーゼを同定することを目的に、ヒトE3リガーゼに焦点を当てたCRISPRaスクリーンを行った。

 その結果、FBXO22 遺伝子の転写が活性化されると、FK506結合タンパク質12 (FKBP12) の分解を誘導するキメラ分子PROTAC候補であるニ機能性化合物22-SLFを同定した。次いで、22-SLFはF-boxタンパク質22 (FBXO22) のC227そしてまたはC228と相互作用し、標的タンパク質の分解を誘導することを明らかにした
[グラフィカルアブストラクト 参照]。

 さらに、ブロモドメイン含有タンパク質4 (BRD4) や棘皮動物微小管関連タンパク質様4-未分化リンパ腫キナーゼ融合タンパク質 (EML4-ALK)を含む、さらなる内因性タンパク質を効果的に分解することで、SCF型E3ユビキチンリガーゼ複合体であるFBXO22ベースのPROTACの多用途性を示した。
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