[出典] "ABE-ultramax for high-efficiency biallelic adenine base editing in zebrafish" Qin W, Liang F [..] Liu Y, Varshney GK. Nat Commun. 2024-07-04. https://doi.org/10.1038/s41467-024-49943-1 [所属] Oklahoma Medical Research Foundation, South China Normal U, Stanford U.
CRISPR技術の進歩、特に塩基エディターの開発は、遺伝子変異研究に革命をもたらす。ゼブラフィッシュのようなモデル生物と組み合わせることで、塩基エディターは遺伝的変異のin vivo解析を大幅に加速し、洗練されたものにする。しかしながら、塩基エディターはプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列や特定の編集ウインドウによって制限されており、広範な遺伝子変異への適用を妨げている。さらに、塩基エディターは意図しない変異を導入する可能性があり、培養細胞株と比較して生体内ではしばしば効率が低下する。
米中の研究チームが今回、ABE-Ultramax (Umax) と称する一連のアデニン塩基エディター (ABE) を開発した。ABE-Ultramaxは、生体内における遺伝子座の両アレルのアデニン塩基を編集するための高効率で特異性の高い一連のABEバリアントからなるプラットフォームである。ABE-Ultramaxは、編集ウインドウのシフト、狭小化、拡大、PAM選好性の緩和、生殖細胞系列特異的なターゲティング能力を有し、ゼブラフィッシュモデル系において、コーディングおよびノンコーディングのヒト病原性SNVの因果関係を立証する能力を実証した
[詳細]
ABEを含むCRISPRベースのエディターでは、sgRNAと複合体化したCas9ニッカーゼ (nCas9)が標的DNA部位でRループ構造を形成する。ABEではここで、nCas9と融合させたアデニンデアミナーゼが、露出したアデニンをイノシンに変換する。DNA複製中、イノシンはグアノシンとして誤読され、AからGへの塩基変化が永久に続く。さらに、nCas9は相補鎖にニックを導入し、DNA修復機構が編集された鎖をテンプレートとして優先的に使用するよう促し、編集効率をさらに高める。
ABEバリアントの中でABE8eは、その効率性と広範なモデル系との適合性から、最も広く使用されている。通常、標的DNA鎖上のプロトスペーサー隣接モチーフ (PAM) 配列に対して4~8位にまたがる領域 (編集ウインドウ) 内でA-to-G変換する。しかし、特定の部位での効率は依然低く、また、編集ウィンドウの制約やNGG PAMに対する嗜好性により、A-to-G変換が可能な配列空間はかなり制限されている。
最近の研究では、TadAデアミナーゼドメインの変異体 (TadA-KRやTadA-9eなど) を用いたヒト細胞での編集効率の向上が示されたが、生体内での効率はまだ限定的であるか、あるいは、検証されていない [*1、2]。さらに、シフトした編集ウィンドウで活性を発揮するABEツールも開発されている[*3, 4]。さらに、研究者らは、優れた効率、忠実性、多様なPAM嗜好性を有するCas9変異体を設計してきた [*5 - 9]。特にSpRY変異体は、より広範な「NNN」PAMを認識し、ゼブラフィッシュにおいて効率的でPAMにほぼ依存しないゲノム編集を実証している [*9]。
病気を引き起こすSNVの約47%は、G(C)からA(T)への置換が関与していることから、ABEによる病因変異の修正が期待されている。しかし、現在のABEプラットフォームは、in vivoでの編集効率が低いこと、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の要件や編集ウィンドウの大きさによるターゲティングの可能性の制限、ターゲット部位での好ましくない挿入や欠失(indel)の形成などの制約がある。これまでに、指向性進化または構造情報などをベースとするタンパク質工学[1,2, 10,11]により、多くのTadA変異体が開発され、ヒト細胞株で高い活性が得られるようにABEの最適化が図られてきたが、依然として生体内での活性の低下、標的可能領域の制限、バイスタンダー変異に悩まされている。そのため、インデルやバイスタンダー変異の発生率が低く、生体内での編集効率が高く、PAMの制限が緩和されて汎用性が高くなり、編集精度が高いABEバリアントが求められている。
研究チームは、個々のTadA変異体とCas9変異体を組み合わせることで、ABEの効率と特異性が相乗的に向上する可能性があると考えた。この仮説を検証するために、これまでに検証された変異の異なる組み合わせから[Fig.1 a/b 引用右図参照]、10種類のTadA変異体を開発した。一連のTadA変異体をSpRY Cas9 [*8]として知られるPAM-less Cas9変異体と融合させ、
特定のゼブラフィッシュモデルでの検証を経て、二重変異体V82S/Q154R (ABE-Ultramax-SpRY)が10種の中で最も優れていることを見出した [Fig.1 c~f引用右図参照]]。さらに、nCas9に対するデアミナーゼの位置を変更することで、ABE-Umaxの編集ウインドウを広げたABE-Umax変異体 [Fig. 3参照]、バイスタンダー編集を抑制する変異 [*12]を導入したUmax変異体を導出した。
[図一覧]
- Fig. 1: Efficient adenine base editing mediated by ABE-Umax-SpRY.
- Fig. 2: Efficient adenine base editing mediated by ABE-Umax.
- Fig. 3: Expanding editing windows for efficient and precise adenine base editing by ABE-Umax variants.
- Fig. 4: Off-target analysis of ABE-Umax-related tools in zebrafish.
- Fig. 5: Functional analysis of VUS sites in F0 generation using ABE-Umax and its variants.
- Fig. 6: Editing of splice variants using ABE editors.
- Fig. 7: Disease modeling using ABE-Umax editors.
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