(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/02/20)
- フリーランス科学ジャーナリストAsher Mullardによる技術解説記事
- ハイスループットスクリーニング(HTS)によって、数百万の化合物から標的に対して活性を示す化合物の選別が可能になった.近年、化合物にDNAバーコードを付したライブラリー(DNA-encoded library: 以下、DEL)を用意することで、HTSより短時間・低コスト・高効率で薬剤候補を同定することが可能になってきた.
- GlaxoSmithKline(GSK)は200万化合物のHTSラーブラリーを維持しているが、2007年にDELの先駆的ベンチャーを買収し、すでに1兆種類のDNAをタグ付けしたDELを構築した.また、NovartisとRocheはDELの構築に着手した.一方で、X-Chem、Ensemble TherapeuticsあるいはPhilochemといった新興ベンチャーは、産学の顧客リストを整備している.
- DELの構築法はさまざまあるが、主として'DNA recording'と'DNA templating'の手法が利用されている.
- [DNA recording] アミノ酸、アミン、カルボン酸といった化合物を構築するブロック(BB)を合成し、化学反応によってユニークなDNAタグを付しておく.最初のブロックから始まって、新たなBBを結合するごとに、DNAタグに新たにユニークなDNAタグも接続していく.こうして数千の構築ブロックから膨大な化合物を生成可能であり、さらに、HTSと異なり多数の化合物を同時に(一本の試験管に中で)標的タンパク質と反応させた結果から'DNAバーコード'を手掛かりに薬剤候補化合物を同定可能となる.GSKは、DNA recordingで構築したDELを利用して、エポキシド加水分解酵素(epoxide hydrolase)阻害剤を同定.1,200億規模のDELを構築したX-Chemは、オートタキシン阻害剤を1年間で同定し2017年に治験開始予定.
- [DNA templating] 複数のDNA配列を連結したDNAテンプレートを設計しておき、テンプレート中のDNA配列に相補的なDNAでタグ付けされたBBを順次加え、標的の複数サイトと相互作用可能な環状低分子'macrocycles'を構築.この手法で構築するライブラリーはDNA recordingライブラリーより小規模になるが、 HTSライブラリーの規模を凌ぎ、DNA recordingライブラリーよりは精度が高い.David Liuらは、14,000種類のmacrocyclesライブラリーからインスリン分解酵素阻害剤同定し、ライブラリーを256,000種類へと拡張予定.Liuが設立したEnsemble Therapeuticsは、1,000万種類のmacrocyclesライブラリーを保有.GSKとX-ChemもDNA tamplatingによるDELを保有.
- DELを利用した薬剤候補スクリーニングは、微量の標的タンパク質や不安定な標的タンパク質についても可能であり、スクリーニング精度の向上や標的を膜タンパク質へ広げる研究が進んでいる.
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