[出典] "T4 DNA polymerase prevents deleterious on-target DNA damage and enhances precise CRISPR editing" Yang Q [..] Long C. EMBO J. 2024-07-22. https://doi.org/10.1038/s44318-024-00158-6 [所属] NYU Langone Health;グラフィカルアブストラクト
哺乳類細胞においてCRISPR/Cas9によって誘導される意図しないオンターゲットでの染色体改変 (特に大きな欠失や染色体転座など) が、ゲノム編集の安全性の課題となっている。
ニューヨーク大学の研究チームが今回、異なる起源を持つ多様なDNAポリメラーゼをスクリーニングし、CRISPR/Cas9編集中に生成される正確な1-2塩基対挿入の割合を増加させながら、望ましくないオンターゲットでの損傷を強力に防止するファージT4由来のT4 DNAポリメラーゼを同定し、このアプローチをCasPlusと称した。
- CasPlusは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー (DMD) における一般的なフレームシフト変異の修正効率を高めながら、オンターゲットの大きな欠失を大幅に減少させ、ヒト心筋細胞においてCas9単独よりも高いレベルのジストロフィン発現を回復させた。
- CasPlusは、マウスの生殖細胞編集において、オンターゲットの大きな欠失の頻度を大幅に減少させた。
- CasPlusは、初代ヒトT細胞の多重遺伝子編集において、染色体転座を抑制しつつ、Cas9と同等以上の遺伝子破壊効率を達成した。
CasPlusは、臨床応用に、より安全で効率的な遺伝子編集戦略を提供するツールである。
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