[出典] "CD5 deletion enhances the antitumor activity of adoptive T cell therapies" Patel RP [..] Ruella M. Sci Immunol. 2024-07-19. https://doi.org/10.1126/sciimmunol.adn6509 [所属] U Pennsylvania (UPenn), Hospital UPenn, Children's Hospital of Philadelphia, viTToria Biotherapeutics (USA), Istituto Europeo di Oncologia IRCCS (Italy), MacKay Memorial Hospital (台湾), Tongji Medical College, Hanyang U (中国) 

 米国FDAが承認したキメラ抗原受容体 (CAR) T細胞による治療を受けた患者のほとんどは、最終的に病勢が進行する。さらに、CAR T細胞は、固形癌やT細胞リンパ腫のような予後が極めて悪いいくつかの血液悪性腫瘍に対しては治癒に至っていない。養子T細胞免疫療法の臨床的成功を阻む主な障害のひとつは、CAR T細胞の機能不全と、注入後の増殖や持続性の欠如である。

 ペンシルべニア大学を主力とする研究チームが今回、CD5がCAR T細胞の活性化を阻害すること、およびCRISPR-Cas9を用いたCD5のノックアウト (KO) が、複数の血液癌および固形癌モデルにおいてCAR T細胞の抗腫瘍効果を増強することを見出した。

 CD5のKOは、前臨床モデルにおいて明らかな毒性を示すことなく、細胞傷害性、in vivoでの増殖、持続性を増強し、T細胞のエフェクター機能を高める。

 本研究は、CD5がT細胞機能の重要な阻害因子であり、T細胞治療を強化するための臨床的標的となりうることを示した。