[出典] "Safety and efficacy studies of CRISPR/Cas9 treatment of sickle cell disease in clinically relevant conditions highlights disease-specific responses" Frati G [..] Miccio A. (bioRxiv 2024-01-14) Mol Ther. 2024-07-18 (accepted). https://doi.org/10.1016/j.ymthe.2024.07.015 [所属] Université Paris Cité, Museum National d'Histoire Naturelle, U Padova, U College London.
成人におけるCRISPR/Cas9による胎児ヘモグロビン (HbF) の再活性化と発現は、SCD治療の有望な戦略である。フランスを主とする研究チームが、γグロビン (HBG )プロモーターにおけるLRFリプレッサーの結合部位 (BS) を標的とするCRISPR/Cas9を介したHbF発現の再活性化につながるゲノム編集戦略を評価した。
- 健常人 (healthy donor: HD) および患者由来の 造血幹前駆細胞 (HSPCs)において、CRISPR/Cas9ゲノム編集によって、高頻度にLRF BSが破壊され、その赤血球前駆細胞において強力なHbF合成が見られた。
- LRF BS破壊はHSPCの生着と分化を損なわなかったが、HD細胞よりもSCD患者由来細胞でより効率的であった。
- しかし、SCD細胞由来のHSPCはHD細胞に比べて生着率が低下し、骨髄系に偏った。
- SCDサンプルでは特に、オフターゲット活性と染色体再配列が検出されたが (全体的な編集効率が高いためと考えられる)、標的遺伝子の発現やHSPCの生着・分化には影響しなかった。
- SCD HSPCでは、編集手順によってDNA損傷や炎症反応に関与する遺伝子の発現が上昇することがより顕著であることが、トランスクリプトーム解析から、明らかになった。
本研究は、HbFの再活性化に基づく編集戦略の有効性と安全性のエビデンスを提供し、臨床的に適切な条件、すなわち患者由来のHSPCsにおいて安全性試験を実施することが、必要なことを、明らかにした。
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