[出典] "Strategic targeting of Cas9 nickase induces large segmental duplications" Sugiyama Y, Okada S, Daigaku Y, Kusumoto E, Ito T. Cell Genome 2024-07-22. https://doi.org/10.1016/j.xgen.2024.100610 [所属] 九大大学院医学研究院, がん研究所 (がん研究会)
Nickase duplication GA
 遺伝子/セグメントの重複は、ゲノムの進化と変異において重要な役割を果たしている。日本の研究チームが、その実験的誘導のためにpaired nicking-induced amplification (PNAmp) と称する手法を開発した。PNAmpは、2つのCas9ニッカーゼを複製開始点の上流と下流に戦略的に配置する
[グラフィカルアブストラクト引用右図参照]

 この配置により、複製開始点から始まった姉妹複製フォークはニッキングで切断され、末端を一つしか持たない (一方の鎖は切断されていない) 二本鎖切断 (DSB) が生じる。この際に、互いに相同な配列が双方の切断末端に隣接している場合は、末端切除のプロせるを経て、一本鎖アニーリングが進行する。
  • Nickase duplication 6PNAmpは、出芽酵母Saccharomyces cerevisiae において、10%を超える効率で約1Mbの大きさのセグメントの複製を誘導した。
  • 適切なスプリントDNA (splint DNA )を使うことで、PNAmpは相同配列に依存することなくセグメントの複製/多重化可能である [Figure 6 引用右図参照]
  • PNAmpは、酵母に限らず哺乳類細胞でも機能する。
 したがって、PNAmpは、複製フォークの進行を操作することによってゲノムに構造変化を誘導するツールである。