crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2026-05-31 初稿のPNAmpが「広大なゲノム領域の縦列反復を誘導する技術」であったのに対して、PNAmpの研究チームは2025年3月に「縦列反復構造の伸長によってゲノム上で遺伝子を高度に増幅する技術」であるBITREx (Break-Induced Replication-mediated Tandem Repeat Expansion) を Cell Genomics 誌から発表していました。BITRExは、nCas9によるニッキングを介してDNA 複製時の複製フォークを破壊するプロセスを利用しています:
  • 論文 "Strategic targeting of Cas9 nickase expands tandem gene arrays" 武居宏明、岡田悟、土井吾郎、杉山友貴、楠元恵美子、伊藤隆司. Cell Genomics. 2025-03-20/04-09. https://doi.org/10.1016/j.xgen.2025.100811
  • 詳細な日本語解説 "ゲノム上で遺伝子を高度に増幅する新技術を開発 ~実験進化、有用物質生産、遺伝子治療への応用に期待~(医化学分野 伊藤 隆司教授)" 九州大学医学部, 2025-03-21. https://www.med.kyushu-u.ac.jp/news/research/detail/1739/
2024-07-30 Cell Genomics 誌査読論文に準拠した初稿
[出典] "Strategic targeting of Cas9 nickase induces large segmental duplications" Sugiyama Y, Okada S, Daigaku Y, Kusumoto E, Ito T. Cell Genom. 2024-07-22. https://doi.org/10.1016/j.xgen.2024.100610 [所属] 九大大学院医学研究院, がん研究所 (がん研究会)
Nickase duplication GA
 遺伝子/セグメントの重複は、ゲノムの進化と変異において重要な役割を果たしている。日本の研究チームが、その実験的誘導のためにpaired nicking-induced amplification (PNAmp) と称する手法を開発した。PNAmpは、2つのCas9ニッカーゼを複製開始点の上流と下流に戦略的に配置する [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]。

 この配置により、複製開始点から始まった姉妹複製フォークはニッキングで切断され、末端を一つしか持たない (一方の鎖は切断されていない) 二本鎖切断 (DSB) が生じる。この際に、互いに相同な配列が双方の切断末端に隣接している場合は、末端切除のプロセスを経て、一本鎖アニーリングが進行する。
  • Nickase duplication 6PNAmpは、出芽酵母Saccharomyces cerevisiae において、10%を超える効率で約1Mbの大きさのセグメントの複製を誘導した。
  • 適切なスプリントDNA (splint DNA )を使うことで、PNAmpは相同配列に依存することなくセグメントの複製/多重化可能である [Figure 6 引用右図参照]
  • PNAmpは、酵母に限らず哺乳類細胞でも機能する。
 したがって、PNAmpは、複製フォークの進行を操作することによってゲノムに構造変化を誘導するツールである。
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット