[出典] "US State Restrictions and Excess COVID- 19 Pandemic Deaths" Ruhm CJ. JAMA Health Forum 2024-07-05. https://doi.org/10.1001/jamahealthforum.2024.2006 [所属] Frank Batten School of Leadership and Public Policy (U Virginia), National Bureau of Economic Research

 COVID-19パンデミックに関する分析が多々行われてきたが、米国の各州ごとに異なる関連規制が死亡者数にどのように影響したかは、依然として不明なままであった。

 著者は今回、米国CDCによる2020年から2022年までの州レベルの死亡率および人口データを用い、2017年から2019年までのベースラインデータと比較した。データには米国の全人口が含まれ、45歳未満、45~64歳、65~84歳、85歳以上に分けて推計し、年齢標準化指標を構築した。2020年7月から2022年6月までの年齢標準化過剰死亡率と比率を算出し、流行前のベースライン率と比較した。全体的な効果の潜在的なメカニズムとして、行動の変化も調査した。
  • マスクの義務化とワクチンの義務化は、超過死亡とは負の相関があり、ワクチンやマスクの義務化の禁止が死亡率と正の相関があった。
  • 活動の制限は死亡率とほとんど相関がなかった。
  • 全州が最も制限の厳しい10州と同様の制限を課していた場合、超過死亡数は2年間の分析期間中に実際に発生した118万人より10%~21%少なかったと推定された。
  • 全州が最も制限の緩い10州と同様の制限を課していた場合、超過死亡数が13%~17%増加したと推定された。
  • 制限の強い州と弱い州との死亡数の差は27万1,000人から44万7,000人であった。
  • 行動の変化が、州ごとの変動の49%から79%に関連すると推定された。
 本研究は、厳格なCOVID-19規制が、集団としてパンデミック死亡率の大幅な低下と関連していることが明らかになった。しかし、すべての規制が同じように効果的であったわけではなく、例えば、教育上の成果を損なう学校閉鎖がパンデミックによる死亡を減少させたというエビデンスは得られず、また、老人ホームの入所者が経験した社会的孤立はデメリットの方が大きかったと推定された。

[crisp_bio注] 結局、しかるべきマスクを「しっかりと」装着するのが、最も費用対効果が大きかったのではなかろうか。