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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] 
 2020年12月から2022年1月までのイングランドの成人ほぼ全てにあたる4,570万人 の電子カルテに基づいて、英国のワクチン接種プログラムで使用されたCOVID-19ワクチンの銘柄および組み合わせの初回、2回目、およびブースター接種後26週までの血栓性合併症および心血管合併症の発生率を、対応するワクチン接種前または接種なしの発生率と比較した。
  • 心臓発作と脳卒中の発生率は、COVID-19ワクチン接種後の方が、接種前または接種していない場合よりも低かった
  • COVID-19ワクチンの初回接種後13〜24週間で、心臓発作や脳卒中などの動脈血栓症の発生率が最大10%低かった。
  • 2回目の接種では、アストラゼネカ社製ワクチンでは27%、ファイザー社製/ビオンテック社製mRNAワクチンでは20%低かった。
  • いわゆるエコノミクラス症候群 (一般的な静脈血栓症イベント, 主に肺塞栓症と下肢 深部静脈血栓症) の発生率も同様のパターンを示した。
[注] 筆頭著者のSamantha Ipによれば「この研究は、COVID-19ワクチン接種プログラムの有効性に関するこれまでに提示された多くのエビデンスを、さらに、裏付けたものである - COVID-19ワクチン接種プログラムは世界中で、何百万人もの命を救ってきたのである」

[英国からの先行論文]
[出典] "Impact of vaccination on the association of COVID-19 with cardiovascular diseases: An OpenSAFELY cohort study" Cezard GI, Denholm RE, Knight R et al; On behalf of the Longitudinal Health and Wellbeing and Data and Connectivity UK COVID-19 National Core Studies, CONVALESCENCE study and the OpenSAFELY collaborative. Nat Commun. 2024-03-11. 
  • 最大1,820万人を対象としたコホート研究から、COVID-19ワクチン接種が、COVID-19診断後の動脈血栓イベント (arterial thromboembolic event: ATE)および静脈血栓イベント (Venous thrombotic events : VTE)の発生率の上昇を大幅に抑制されたことが、判明した。
  • この抑制は主にワクチン接種によるCOVID-19の重症度低下に起因すると考えられた。
  • ワクチン接種が可能になる前にCOVID-19と診断された人では、ATEおよびVTEの発生率はCOVID-19診断後2年目も約20%上昇し、入院したCOVID-19患者ではその傾向が強まった。
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