[出典] "High-fidelity CRISPR/Cas12a dual-crRNA screening reveals novel synergistic interactions in hepatocellular carcinoma" Chen Q [..] Yin L. Clin Transl Med. 2024-07-28. https://doi.org/10.1002/ctm2.1758 [所属] Wuhan U, Affiliated Hospital of Jianghan U
CRISPR/Cas12aを用いたコンビナトリアル・スクリーニングは、sgRNAsのプール型ライブラリーを構築することなく単一のcrRNAアレイの配列を用意することで実現可能なことから、合成致死の関係にある遺伝子ぺアなどの複数遺伝子の組み合わせを評価するツールとして有用である。
- 中国の研究チームは今回まず、高い遺伝子編集効率と低いオフターゲット効果を持つ、ダブルノックアウト・スクリーニングに適したCas12a候補、CeCas12a [*1]を同定した。
- 並行して、オーバーラップ・エクステンションPCR (overlap extension PCR/Splicing by overhang extension: SOE PCR) による遺伝子スプライシングを用いたデュアルCRISPR RNA(crRNA)ライブラリーであるSOE crRNA array (SOCA)ライブラリーを構築した [FIGURE 2 (A)/(D)引用右上図参照]。
- CeCas12aにSOCAを組み合わせたダブルノックアウト・スクリーニングを、肝細胞癌 (HCC) の腫瘍形成に関与するFDA承認薬のキナーゼと、代謝関連遺伝子の標的のほとんどを網羅するように設計した。
- その結果、HCCの増殖に影響を及ぼすキナーゼと代謝関連遺伝子の間の新しい相互作用が同定され、in vitroおよびin vivoで検証された。
- 続いて、TCGAデータベースを対象とするバーチャル・ダブルノックダウン・スクリーニングを実施し、すべての遺伝子ペアの組み合わせが肝細胞癌の生存率に及ぼす影響を調べ、同定された遺伝子ペアRaf1-Pkm2の臨床応用の可能性を検証した [出典FIGURE 6 参照]。
本研究は、高い有効性と忠実性を持つ新規のCeCas12aをとSOCAライブラリーをベースとするスクリーニングが、迅速で、信頼性が高く、効率的なダブルノックアウトスクリーニングを実現可能なことを示し、また、FDA承認薬の標的遺伝子のダブルノックアウト・スクリーニングが、新たな併用療法の組み合わせを発見するツールとして有望なことを示した。
[*]
- 2020-04-03 より厳密なPAM配列を認識するCas12aオーソログによって、オフターゲット編集を抑制.
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