[出典] "A cellular reporter system to evaluate endogenous fetal hemoglobin induction and screen for therapeutic compounds" Verheul TCJ [..] Philipsen S. HemaSphere. 2024-08-06. https://doi.org/10.1002/hem3.139 [所属] Erasmus MC (Rotterdam), EMBL Chemical Biology Core Facility (Heidelberg), Sanquin Research (Amsterdam), RIKEN BioResource Center
鎌状赤血球症 (SCD)やβサラセミアといったβグロビン遺伝子座の変異によって引き起こされる遺伝病 (β-グロビノパチー)の症状は、胎児型ヘモグロビン(HbF)発現から、成人型ヘモグロビン発現へのスイッチに際して顕れる。このヘモグロビンのスイッチを逆転、すなわち、HbFの発現を再活性化、することで、β-グロビノオパチーの症状を緩和できる。そこで、数十年にわたり胎児期のγ-グロビンサブユニットの発現を誘導する研究が行われてきたが、胎児ヘモグロビンの誘導剤として臨床に使われるようになったのは、ヒドロキシ尿素という化合物だけに止まっていた。しかも、この化合物の有効性は患者によって変動することから、より効果的な治療法が求められてきた。オランダを主とする研究チームは今回、有効な治療法を発見する基盤となる標題の細胞レポーターを作出した。
- この細胞レポーターは、成人のヒト赤血球前駆細胞に酷似しているHUDEP2細胞をベースとしている。HUDEP2細胞は、初代赤血球とは異なり、ストレス下でHbFをアップレギュレートしない。
- CRISPR-Cas9 KI (ノックイン)を介して、生物発光タグでHBG1遺伝子を標識し、このレポーター細胞株がHUDEP2の特徴を忠実に反映し、細胞は胎児ヘモグロビンの誘導を高い感度と特異性で報告することを確認した。
- さらに、パイロット研究において、既知の胎児ヘモグロビン誘導因子のクラスターを、このレポータ細胞株で同定することに成功した。
この新たなレポーター細胞株は、HbFの潜在的な治療的誘導因子を同定に向けた特異的かつ高感度なツールである。
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