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[出典] "Systematic loss-of-function screens identify pathway-specific functional circular RNAs" Liu L, Neve M [..] Rosenbluh J. Nat Cell Biol. 2024-08-02. https://doi.org/10.1038/s41556-024-01467-y [所属] Monash U, An alliance of U South Australia and SA Pathology, U Adelaide, Flinders U (Australia), UCSD

 環状RNA(circRNA)は、バックスプライシングによって生成される共有結合で閉じた一本鎖RNAである。いくつかのcircRNAが機能的であることが示唆されているが、circRNAによって制御される経路についての理解は不十分である。その理解を深めることを目的として、オーストラリアを主とする研究チームが、ヒトにおいて様々なレベル(低レベルから高レベルまで)で発現している3,354種類のヒトcircRNAのバックスプライスジャンクションを標的としたプール型shRNAライブラリーを構築し、それをベースとする機能喪失スクリーニングを行ない [Fig. 1参照]、コンテクストに特異的なcircRNAと非特異的なcircRNAの双方を同定した。

 いくつかのcircRNAは、その前駆体を直接制御することがわかったが、一方、いくつかのcircRNAは、その前駆体とは無関係な機能を持つことを、発見した。二次スクリーニング [Fig. 2参照]での検証を経て、2つの細胞必須circRNAであるcircRERE(4-10)とcircHUWE1(22,23)、WNT経路制御因子であるcircSMAD2(2-6)、MAPKシグナル制御因子であるcircMTO1(2,RI,3)の役割を明らかにした。

 本研究は、circRNAによって制御される経路に光を当て、測定可能な機能を持つcircRNAのカタログを提供した。

[参考] RNA標的CRISPR-Cas13システムによる環状RNAスクリーニングの問題点
 近年、CRISPR-Cas13を利用したcircRNAの機能研究が報告されている [*1, 2]。しかし、著者らは、Cas13のcircRNA研究への応用を制限する2つの大きな問題を発見した。第一に、RNA干渉は通常、circRNA発現を70-90%低下させるが、Cas13は通常、より弱いレベルのcircRNA抑制(40-60%)をもたらし、表現型の同定を困難にする。第二に、コラテラル切断活性[*3]が多数のオフターゲット効果を誘導し、観察された表現型がオンターゲットの結果なのかオフターゲットの結果なのかを判断するのは難しい。
 [*]
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