[RESEARCH HIGHLIGHTS]“What comes first—genomic structure or function?” Rusk N. Nat Methods. Published online 31 August 2017.
[Article]“Manipulation of nuclear architecture through CRISPR-mediated chromosomal looping.” Morgan S et al. Nat Commun. 2017 Jul 13;8:15993.
  • 染色体のループ形成を操作可能とするツールCLOuD9を開発:ゲノム上の標的位置に結合するdCas9-sgRNAシステムに、植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)シグナル伝達機構の一部を組込むことで実現;挿入図Figure 1-aにあるように、S. pyogenes dCas9にABA受容体PYL1とHAタグを、S. aureus dCas9にABI1ドメインとFlagタグを、それぞれ融合し、互いに直交するdCas9-sgRNAペアが染色体上の2箇所の標的部位にそれぞれ結合した後、ABAを加えることでPYL1とABI1の近接結合を誘導し(Chemically induced proximity、CIP)、Sp-dCas9とSa-dCasのヘテロ二量体化ひいては、染色体上の任意の遺伝子座を近接させる。
CLOuD9
  • ヒト慢性骨髄性白血病由来K562細胞とヒト胎児由来腎臓上皮細胞由来293T細胞において、ABAの付加と除去によるβ-グロビンのプロモーターと遺伝子座制御領域(LCR)の間の可逆的ループ形成を実現した。しかし、K562ではβグロビンの発現が亢進下が、293T細胞でのβグロビン発現には変化が見られなかった。
  • 293T細胞では、転写因子Oct4のプロモーターと遠位の5末端エンハンサーの間に接点が見られずOct4が発現していない。しかし、CLOuD9によりプロモーターとエンハンサーのコンタクトを生成することでOct4を強制発現することができた。
  • K562では、ABAによるCIPを10日間継続後は、ABAを除去しても、染色体ループが維持され、これは、コヒーシンやCTCFではなくRNAヘリカーゼDDX5とDDX17に拠る現象であることも見出した。
 参考Webサイト
  • クロマチン構造の遺伝子発現制御解析に CLOuD9 Gene Expression Regulation Kit. Funakoshi