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- NIHのプロジェクト"RECOVER(Researching COVID to Enhance Recovery)"が, 現在一般的におこなわ得ている臨床検査では, ロングCOVIDとその他の疾患を識別できないと結論
[出典] 
 ロングCOVIDの診断と治療に有効な臨床バイオマーカーは今のところ見つかっていない。このため、診断には詳細な病歴の収集と患者の症状を把握するための診察(physical exam)、および他の原因を除外するための検査が必要である。RECOVERでは、SARS-CoV-2感染者が、感染歴のない者と比較して、血小板数や尿中蛋白質などのバイオマーカーに変化をもたらすかどうかを調べるために研究を行った。

 RECOVER Adult Cohortからの参加者10,094人のうち、8,746人がSARS-CoV-2の様々な変異株に感染、1,348人が非感染者、1,880人がPASC指数[*]12以上のロングCOVID感染者、3,351人がPASC指数0のロングCOVID非感染者であった。
[*] PASC (Postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection) 指数: ロングCOVID感染の判定のために今回、12種類の症状をベースとして定義された指数] 

 研究参加者は、ベースラインの調査、身体検査、25項目の標準的な血液・尿検査を行った。その後、参加者は2年間の研究期間中、3ヵ月ごとに調査を受け、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月、36ヵ月、48ヵ月の間隔で臨床検査を受けた。検査項目は、全血球数パネル、メタボリックパネル、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、尿検査、尿アルブミン/クレアチニン比(uACR)などであった。

 今回行った検査では、SARS-CoV-2感染歴のある人とない人の間でバイオマーカーに顕著な違いはほとんど検出されなかった。しかし、2〜3ヵ月間の平均血糖値の指標であるHbA1cは、感染歴のある人と感染歴のない人との間で、わずかながら上昇したが、HbA1c値の差は、糖尿病の既往がある参加者を除外すると減少し、また、SARS-CoV-2への初感染時の重症度に起因するものであった可能性があった。

 二次解析として、SARS-CoV-2感染者のみを対象として、ロングCOVIDを発症した人とそうでない人の違いを調べたが、両群間の検査結果に有意差は認められなかった。

 全体として、今回評価された日常的な臨床検査値のいずれもが、ロングCOVIDの臨床的に有用なバイオマーカーとなりうるというエビデンスは得られなかった。

 論文の筆頭著者の感染症学者Kristine Erlandsonは、「今後の研究では、RECOVERの血液や髄液などのコホートサンプルのバイオバンクを利用して、長期のCOVIDの病態生理をより深く理解するための、より新しい検査ベースの検査を開発する予定です」と述べた。
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