[出典] "CRISPR/Cas9 mediated targeted knock-in of eglA gene to improve endoglucanase activity of Aspergillus fumigatus LMB-35Aa" Benites-Pariente JS, Samolski I, Ludeña Y, Villena GK. Sci Rep 2024-08-23. https://doi.org/10.1038/s41598-024-70397-4 [所属] U Nacional Agraria la Molina (Peru)
バイオマス原料をバイオ燃料やバイオ生産に利用するというバイオエコノミーの目標により、バイオマス処理用の真菌株や酵素の需要が高まっている。トリコデルマ属やアスペルギルス属の市販菌株はよく知られているが、継続的な生物探索により、真菌の生物多様性を活かしたバイオマス分解酵素生産の展望が開けてきた。中でも、麹菌Aspergillus fumigatus LMB-35Aa株の、リグノセルロース分解酵素の供給源としての大きな可能性を明らかにされ、その実用化に向けた遺伝子改良が模索されている。しかし、一般的に糸状菌の相同性指向性組換え(HDR)の効率が低いことが、その障害になっていた。
その中で近年、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術が、糸状菌においても、様々な二次代謝産物の生産に用いられる用になってきた。ペルーの研究チームは今回、CRISPR/Cas9システムを利用してA. fumigatus LMB-35Aa株におけるA. niger 由来エンドグルカナーゼEglAの効率的な異種生産を実現した。
- EglAは最適pH 5で活性を示すことで知られているが、このpHは、A. fumigatus LMB-35Aaの最適pH範囲と一致している。
- A. niger (ATCC 10864株)由来のeglA 遺伝子を、MMEJ経路を経て [Fungal Genet Biol, 2016]、分生子メラニンpksP 遺伝子座に組み込み、アルビノコロニーの出現によって識別される編集事象の選択を容易にした [Figure 2参照]。
- バイオフィルム発酵系でEglA酵素を異種生産して得られた変異株のエンドグルカナーゼ活性は、野生型から40%向上していた。
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