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2025-01-01 Nature Communications 誌刊行論文の書誌情報を追記し、テキストを一部改訂
2024-09-16 Research Square投稿に準拠した初稿
[出典] "Structural insights into how Cas9 targets nucleosomes" Nagamura R [..] Kurumizaka H, Nureki O. Research Square 2024-09-09 (preprint).  Nat Commun. 2024-12-30. https://doi.org/10.1038/s41467-024-54768-z [所属] 東大, 農業・食品産業技術総合研究機構, 横浜市大, 琉球大

 CRISPR-Cas9は、ガイドRNAに誘導されて、特定のゲノム遺伝子座に結合し、DNA二本鎖を切断する (DSB)。一方で、真核生物のゲノムDNAはヒストン8量体に巻き付いた構造(ヌクレオソーム)を基本単位とする高次複合体(クロマチン)を形成している。その中で、Cas9によるDSBの構造基盤はこれまで、遊離DNAを標的とした場合について解析が進んでおり、ヌクレオソーム内のDNAを標的とした場合の構造基盤の解明は遅れていた。

   東大の濡木と胡桃坂らをはじめとする研究チームが今回、SpCas9-NG, sgRNAおよびヌクレオソーム三元複合体のクライオ電顕構造を4.56 Å分解能で再構成し、Cas9がリンカーDNAとヌクレオソームの出入り口DNA領域を標的とするが、ヒストン8量体にしっかりと巻き付いたDNAは標的としないことを、明らかにした [Figure 2引用左下図とFigure 5引用右下図参照]
Structural insights into how Cas9 2  Structural insights into how Cas9 5
 また、Cas9とヌクレオソームが複数のサイトで相互作用することが示唆され、ヌクレオソームDNAとCas9との相互作用を減少させた変異体(SpCas9 NG)では、in vitroおよびin vivoの両方でヌクレオソームDNA切断活性が改善されることが確認された。in vitroではヌクレオソームDNA切断活性を改善するが、in vivoではCas9とヌクレオソームの相互作用による阻害は限定的である。

 これらの知見は、クロマチンにおける新規ゲノム編集ツールの開発に貢献するだろう。

[構造情報] 
EMD-39431 / PDB 8YNY:
 Cas9-sgRNA-nucleosome complex targeting linker DNA

[論文構成]
 Introduction
 Main
  • Cas9 targets nucleosomal DNA end regions
  • Cryo-EM analysis for Cas9-sgRNA-nucleosome complex targeting linker DNA
  • Interactions between PI domain in Cas9 and nucleosome
  • Nonspecific interactions between Cas9 and core DNA affects DNA cleavage efficiency in vitro and in vivo
 Discussion
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