[出典] "Customizable gene sensing and response without altering endogenous coding sequences" Caliendo F [..] Weiss R. Nat Chem Biol 2024-09-12. https://www.nature.com/articles/s41589-024-01733-y [所属] MIT, Wyss Institute, Broad Institute, Boston U

 合成生物学は、細胞状態の変化に応答する遺伝的回路を実装することによって、細胞行動を改変することを目的としている。CRISPR-Cas9を用いて、遺伝子バイオセンサーを内在遺伝子のコード配列に組み込むことで、適切な染色体コンテクストにおける遺伝子発現ダイナミクスの制御が可能になる。しかし、バイオセンサーを遺伝子のコード配列に埋め込むと、内在性遺伝子の制御が予測できないほど変化する可能性がある。

 MITを主とする研究チームは、遺伝子のターミネーター領域に、下流回路を活性化するsgRNAを挿入することで、遺伝的バイオセンサーを、遺伝子のコード配列に変更を加えることなく内在性遺伝子に組み込むアプローチを試行した [グラフィカルアブストラクト参照]

 このアプローチでは、センサーの用量応答を、数学的モデルによって微調整し、予測することができる。具体的に、CHO-K1細胞において、下流回路を介して抗アポトーシス蛋白質BCL-2を条件付きで活性化し、ストレス条件下での細胞の生存率を高める細胞ストレスセンサーとアクチュエーターを設計した。

 この遺伝子センサーとアクチュエーターのプラットフォームは、バイオ製造、細胞運命制御、細胞ベースの治療薬など、幅広い応用が期待される。