[出典] "IL-4 drives exhaustion of CD8CART cells" Stewart CM [..] Kenderian SS. Nat Commun. 2024-09-12. https://www.nature.com/articles/s41467-024-51978-3 [所属] Mayo Clinic, Gilead Sciences Inc.

 キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法に対する持続的な奏効には、CAR-T細胞の疲弊により、限界がある。米国の研究チームが今回、in vitroの疲弊モデルを用いたゲノムワイドCRISPRノックアウト・スクリーニング、ベースラインおよび疲弊したCAR-T細胞のRNAおよびATACシークエンシング(クロマチンアクセシビリティーの評価)、ZUMA-1臨床試験 [*]における反応者および非反応者の注入前CAR-T細胞産物のRNAおよびATACシークエンシングなど、3つの独立したアプローチにより、CAR-T細胞の疲弊の制御について検討した。
[*] NCT02348216: Study Evaluating the Safety and Efficacy of KTE-C19 in Adult Participants With Refractory Aggressive Non-Hodgkin Lymphoma (ZUMA-1); Sponsor Kite, A Gilead Company

 その結果、インターロイキン-4(IL-4)がCAR-T細胞の機能不全の制御因子であることが同定された。さらに、IL-4で処理したCD8CAR-T細胞は、CD4CAR-T細胞の存在とは無関係に疲弊の徴候を発現する。一方で、IL-4経路の編集、あるいはCAR-T細胞とIL-4モノクローナル抗体の併用は、マントル細胞リンパ腫異種移植マウスモデルにおいて、抗腫瘍効果を改善し、CAR-T細胞の疲弊の徴候を減少させた。

 本研究において、CAR-T細胞の枯渇を誘導するIL-4の役割と、CAR-T細胞治療を改善するためのトランスレーショナルなアプローチの両方が明らかなった。

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