[出典] "CRISPR screening uncovers nucleolar RPL22 as a heterochromatin destabilizer and senescence driver" Li HY, Wang M, Jiang X, Jing Y [..] Qu J, Zhang W, Wei T, Liu GH. Nucleic Acids Res. 2024-09-11. https://doi.org/10.1093/nar/gkae740 [所属] Institute of Biophysics CAS, U CAS, Institute of Zoology CAS, Institute for Stem Cell and Regeneration CAS, Beijing Institute of Genomics, U Science and Technology of China, Beijing Institute for Stem Cell and Regenerative Medicine, Hainan Medical U, Xuanwu Hospital Capital Medical U, Capital Medical U, Aging Biomarker Consortium

 リボソームの機能不全は、細胞の老化に伴って発現し、組織の老化、機能低下、老化関連疾患の発症に関与するが、そのメカニズムは謎のままであった。その解明に向けて、中国の研究チームは、ヒト間葉系前駆細胞(hMPC)を用いて、CRISPRを用いたリボソーム関連遺伝子(ribosome-associated genes: RAG)の網羅的機能喪失(LOF)スクリーニングを行った。RPL22その結果、リボソームタンパク質L22(RPL22)の欠損はhMPCの老化を遅らせ、一方、RPL22の過剰が老化過程を促進することを、同定するに至った [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]

 そのメカニズムとして、老化hMPCではRPL22が核小体内に蓄積することも明らかになった。この蓄積は、主要なヘテロクロマチンタンパク質、特にヘテロクロマチンタンパク質1γ(HP1γ)とKRAB-associated protein 1(KAP1)の分解を伴うヘテロクロマチンの脱凝縮を含む、一連の事象のカスケードを誘発する。その後、RPL22に依存したヘテロクロマチンの破壊がリボソームRNA(rRNA)の転写を刺激し、細胞の老化を引き起こす。

 本研究は、ヘテロクロマチンの不安定化因子として、また細胞老化の促進因子として、核小体RPL22の新たな役割を明らかにするものであり、老化プロセスの根底にある複雑なメカニズムに新たな光を当てるものである。

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