[注] 肝デリバリー:肝臓を標的とする送達
[出典] "Engineering Branched Ionizable Lipid for Hepatic Delivery of CRISPR/Cas9 Ribonucleoproteins" Onuma H [..] Sato Y. iScience. 2024-09-11. https://doi.org/10.1016/j.isci.2024.110928 [所属] 北海道大学
CRISPR/Cas-sgRNAのリボヌクレオタンパク質(RNP)の送達は、その高い効率とオフターゲット効果の小さいことから、臨床応用に向けて注目されている。また、RNPの非ウイルス性送達手段として、脂質ナノ粒子(LNP)が注目されている。
日本の研究チームは今回、RNPを肝臓へ安定かつ効率良く送達するために、イオン化可能な脂質の分岐した足場を設計した。
イオン性脂質の分岐構造と送達機能の関係性を、系統的な脂質ライブラリーを設計・評価し、RNPの機能的デリバリーには、総炭素数と分岐位置の両方が重要なことを同定した。
その上で、最適なLNPを介して送達したRNPが、1回の投与でトランスサイレチン (TTR)タンパク質を98%以上低減し、かつ、このLNPは生分解性であり、毒性の兆候を伴わないこと、を確認した。
最適なLNPは、脂質構造とペイロードの両方に依存するユニークな「花のような構造(flower-like structure)」を持ち、これらのLNPはアポリポタンパク質E(Apo E)非依存的に肝細胞に蓄積する。
これらの結果は、化学合成可能なLNP製剤を用いたRNP送達による生体内ゲノム編集治療の実現に向けた大きな一歩となる。
[図一覧]
- Figure 1 Synthesis of ionizable lipids with different branched scaffolds.
- Figure 2 Screening of RNP-loaded LNPs with the synthesized branched lipid.
- Figure 3 Performance of the RNP-loaded ζ-LNPs.
- Figure 4 Biocompatibility of the RNP-loaded ζ-LNPs.
- Figure 5 Characterization of the RNP-loaded ζ-LNPs.
[関連crisp_bio記事]
- 2021-12-19 [コメント] RNAのデリバリーに利用されるイオン化可能な脂質のツールボックス.
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