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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Therapeutic CRISPR Epigenome Editing of Inflammatory Receptors in the Intervertebral Disc" Stover JD, Trone MAR [..] Bowels RD. Mol Ther. 2024-09-17. https://doi.org/10.1016/j.ymthe.2024.09.022 [所属] U Utah

 腰痛(low back pain: LBP)は世界的な身体障害の主要原因の一つであり、その社会経済的コストは莫大である。腰痛の主な原因である椎間板変性は、椎間板(InterVertebral Disc: IVD)の細胞外マトリックスの破壊、椎間板の高さの減少、炎症によって特徴づけられる。炎症性サイトカインであるTNF-αは、腫瘍壊死因子受容体1(umor Necrosis Factor Receptor 1: TNFR1)を介した炎症性シグナル伝達を含む複数のシグナル伝達経路を持ち、椎間板変性の主要なメディエーターとして関与している。

 ユタ大学の研究チームは今回、CRISPRエピゲノム編集を利用してTNFR1シグナル伝達経路をin vivoで制御することで、ラットの椎間板変性の進行を遅らせることに成功した。TNFR1を標的とするTNF-αおよびCRISPRiベースのエピゲノム編集治療薬でSD(Sprague-Dawley)ラットを治療したところ、椎間板変性モデルにおける行動学的疼痛が減少した。
注目すべきことに、TNF-αの注射は、TNFR1調節後に治療効果を発揮した。 [グラフィカルアブストラクト参照] 

 本研究は、CRISPRエピゲノム編集が炎症に起因する椎間板変性症の治療に有望なアプローチであることを示唆した。
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