[出典]
論文 "Alligamycin A, an antifungal β-lactone spiroketal macrolide from Streptomyces iranensis " Yang Z [..] Ding L. Nat Commun. 2024-10-26. https://doi.org/10.1038/s41467-024-53695-3 [所属] Technical U Denmark, Leibniz Institute for Natural Product Research and Infection Biology—Hans Knöll Institute, U Würzburg.
論文紹介 "Fighting AMR by the antifungal drug candidate alligamycin" Ding L. SPRINGER NATURE Research Communities. 2024-10-26. https://communities.springernature.com/posts/fighting-amr-by-the-antifungal-drug-candidate-alligamycin
真菌感染症が公衆衛生に大きな脅威を与えている。しかし、抗真菌薬の主なクラスは4種類に留まり、また、毒性、薬物間相互作用、抗生物質耐性などの問題を伴っている。
著者等は先行研究で、ラパマイシン産生菌であるStreptomyces iranensis が植物成長を促進するスピロケタール・ポリケチド・プテリジン酸FとHを生産することを発見した [*1]。また、興味深いことに、様々なアスペルギルス属の病原菌に対して強い抗真菌活性を示すことも見いだした。
抗真菌性ポリケチドのパイプライン探索において、S. iranensis はAspergillus flavus、Aspergillus niger、Aspergillus fumigatusおよびAspergillus tubingensisとの共培養で強い抗真菌活性を示し、抗真菌性代謝物の産生が示唆された。LC-MS分析により、よく知られた抗真菌剤アザロマイシンが高生産されていることが明らかになった。しかしながら、アザロマイシンを欠損したS. iranensis の変異体も、これらのアスペルギルス病原体に対して依然として強い抗真菌活性を示し、他の新規抗真菌代謝物の産生の可能性が示唆された。また、S. iranensis のゲノムマイニング[*2] により、16のモジュールを持つタイプIモジュール型ポリケチドBGC(ali )を含む未同定BGCの存在が明らかになり、これらのBGCが新規抗真菌代謝産物の産生に関与している可能性が示唆された。
著者等は今回、ゲノムマイニングに、LS-MSとLC-UVによるメタボローム解析、大規模発酵・単離、ラベルフリー定量プロテオミクス解析を組み合わせた結果、新規クラスの抗真菌性化合物Alligamycin A(アリガマイシンA)を発見し、抗真菌活性、生合成、および作用機序を探った。
アリガマイシンAは、β-ラクトン基、[6,6]-スピロケタール(spiroketals)環と、潜在的なクロトニル-CoAカルボキシラーゼ/リダクターゼによって組み込まれる未報告の7-オキソ-オクチルマロニル-CoAエクステンダー・ユニットとを特徴とする、13の不斉中心を有するユニークな化学的足場を有する。これは、I型ポリケチド合成酵素によって生合成されることがCRISPRベースの遺伝子編集によって確認されている [
アリガマイシンAは、耐性アスペルギルス属やタラロマイセス属を含む多くの臨床関連糸状菌に対して強力な抗真菌効果を示した。β-ラクトン環を破壊したアリガマイシンBは抗真菌活性を失うことから、β-ラクトン環は抗真菌活性に必須である。プロテオミクス解析の結果、アリガマイシンAは真菌細胞壁の完全性を破壊し、A. niger のストレス応答タンパク質の発現を誘導する可能性が示唆された。
今回の強力な抗真菌剤候補であるアリガマイシンAの発見は、限られていた抗真菌化学物質の領域を拡大する。
[*] 参考文献
- [*] "CRISPR-Cas9, CRISPRi and CRISPR-BEST-mediated genetic manipulation in streptomycetes" Tong Y [..] Weber T, Lee SY. Nat Protoc. 2020-07-10. https://doi.org/10.1038/s41596-020-0339-z
- "Streptomyces alleviate abiotic stress in plant by producing pteridic acids" Yang Z [..] Ding L. Nat Commun. 2023-11-15. https://doi.org/10.1038/s41467-023-43177-3
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