crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "Ca+2 and Nε-lysine acetylation regulate the CALR-ATG9A interaction in the lumen of the endoplasmic reticulum" Braun MM [..] Puglielli L. Sci Rep. 2024-10-26. https://doi.org/10.1038/s41598-024-76854-4 [所属] U Wisconsin-Madison, Geriatric Research Education Clinical Center (Veterans Affairs Medical Center)

[注] オートファジーは非選択的にタンパク質をアミノ酸に分解して栄養として再利用するだけでなく、ミトコンドリアや小胞体のような細胞小器官を選択的に分解すること [*]で、その質や量を調節する。
[*]それぞれ、マイトファジー(mitophagy)とレティキュロファジー (reticulophagy)と呼ばれる。

 ATase1およびATase2による小胞体内腔でのオートファジー蛋白質9A(ATG9A)のアセチル化が、レティキュロファジーの誘導を制御している。米国の研究チームが今回、小胞体特異的なATG9Aのインタラクトームの解析から、小胞体内腔のCa+2結合シャペロンであるカルレティキュリン(calreticulin: CALR)がATG9Aの活性の鍵であることを同定した。
  • ATG9Aは、アセチル化されるとCALRによって隔離され、FAM134BとSEC62への結合が阻害される。この状態では、ATG9Aはオートファジーのコア・マシーナリー(core machinery)を活性化できない。一方、非アセチル化状態では、ATG9AはCALRによって放出され、FAM134BとSEC62に関与することができる。
  • 本研究では、小胞体膜を介したCa+2の動態が、ATG9AとCALRの相互作用、およびATG9Aのレティキュロファジー活性化の引き金となる能力を制御していることを、明らかにした。すなわち、CALRのCドメイン上に位置するCa+2結合部位が、ATG9AとCALRの相互作用に必須であることを明らかにした。
  • 最後に、ATG9A上のK359とK363がATG9AとCALRの相互作用に影響を与えることを示した。
 今回、ATG9Aの活性を制御する複雑なメカニズムの、これまで明らかにされていなかった側面が明らかになった。この結果はまた、Ca+2代謝、アセチルCoA代謝、ERプロテオスタシスが交差する可能性のある領域を提示している。

[本研究におけるCRISPR-Cas9の利用]
 CALRのCa+2結合能の機能的役割を調べるため、CRISPR-Cas9を利用して、HEK293-EATR細胞の内在性CALR内にD328A置換とΔ338-408欠失の両方を導入した。その結果、野生型と比較して、変異体(CALRCRと呼ぶ)ではレティキュロファジー誘導が増加した。重要なことに、この効果はEBBS誘発飢餓の有無にかかわらず観察され、CALRのCa+2結合能が、CALRが基底レベルおよび飢餓に誘発される場合の双方において、レティキュロファジーを制御するのに必要であることを示している。
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット