[注] PsCas9 - Parasutterella secunda 由来のタイプII-Bサブファミリー;LNP - 脂質ナノ粒子
2025-01-18 SynthegoがAstra Zenecaが開発した新規CRISPR遺伝子編集酵素、eSpOT-ON(ePsCas9に準拠)、の製造・販売に関するグローバル・ライセンスを獲得した。
[出典] Press Release "Synthego Signs Strategic Agreement with AstraZeneca to License CRISPR Gene Editing Enzyme" Synthego. 2025-01-13.
2024-11-12 Nature Communications 誌刊行論文とプレス発表に準拠した初稿
[出典]
2024-11-12 Nature Communications 誌刊行論文とプレス発表に準拠した初稿
[出典]
論文:"Engineered PsCas9 enables therapeutic genome editing in mouse liver with lipid nanoparticles" Degtev D, Bravo J [..] Maresca M, Taylor D, Sienski G. Nat Commun. 2024-11-07. https://doi.org/10.1038/s41467-024-53418-8 [所属] AstraZeneca, U Texas at Austin, LIVESTRONG Cancer Institutes / (Dell Medical School, UTEXAS)
プレス発表:"Engineering the future of gene editing with ePsCas9" AstraZeneca. 2024-11-07. https://www.astrazeneca.com/what-science-can-do/topics/clinical-innovation/advancing-gene-editing-with-epscas9-technology.html
構造情報:EMDB-42378 / PDB 8UMF - Structure of PsCas9 in complex with gRNA and DNA in product state (2.9 Å)
アストラゼネカを主とする研究グループは先行研究において、PsCas9を発見し、アデノウイルス送達により、オフターゲット編集を伴わず、染色体転座も抑制しつつ、マウスの肝臓におけるゲノム編集が可能なことを実証した。今回、標題の成果を発表した。
アストラゼネカを主とする研究グループは先行研究において、PsCas9を発見し、アデノウイルス送達により、オフターゲット編集を伴わず、染色体転座も抑制しつつ、マウスの肝臓におけるゲノム編集が可能なことを実証した。今回、標題の成果を発表した。
[詳細]
研究チームは今回、治療的ゲノム編集への応用を目的として、PsCas9の機能を、細胞、構造、および生化学の観点から徹底的に分析した。その結果、PsCas9の編集活性は、細胞内濃度が制限された条件下で阻害されること、in vitroではSpCas9に比べてDNAに対する親和性が相対的に低いことを発見した。そこで、細胞内におけるPsCas9の編集活性の低さを、DNAに対する親和性を向上させることで改善するアプローチを試みた。
クライオ電顕法により再構成したPsCas9の高分解能構造をベースにして、PsCas9システムに合理的な改変を施したePsCas9システムにより、ゲノム編集の効力向上を実現した:
- PsCas9のsgRNAの特異なフォールディングが明らかになったことから、PsCas9 sgRNA scaffoldの最適化を試みたところ、効力がわずかに向上した。
- 一方で、PsCas9に合理的な変異を導入することで、幅広いゲノム標的において、顕著な(最大20倍)向上が見られた。
- このような活性向上は、in vitroでのより効率的なDNA相互作用と相関していた。
- さらに重要なことに、こうした改変を加えた後も、野生型PsCas9が備えていたオフターゲット非検出と染色体転座が低頻度な特長が、維持されていた。
研究チームは、ePsCas9を実現したアプローチにより、タイプII-B サブファミリーのFrancisella novicida Cas9(FnCas9)の活性向上(最大15倍)も実現した。
LNPによる送達については、マウス肝臓において、高コレステロール血症治療の臨床的アプローチであるPcsk9 遺伝子のノックアウトを試み、ePsCas9が肝臓で高レベルの編集を誘導し、同時に血漿中のPcsk9レベルが低下することが、実証された。
[図一覧]
[参考] AstraZenecaからの"プライム編集 (PE) "論文
[20220328更新] Cas9ニッカーゼに変えてCas9ヌクレアーゼをベースとするプライムエディティング;"Harnessing DSB repair to promote efficient homology-dependent and -independent prime editing" Peterka M [..] Maresca M. Nat Commun. 2022-03-24.;[参考] 中国の研究チームからのPE関連論文:2023-05-10 Cas9ニッカーゼに替えてCas9ヌクレアーゼをベースとすることで, プライム・エディター (PE)の正確性を向上
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