[注] 本記事内の「果実」は、生物学の用語としての"カジツ”であり、日常使われる"果物(クダモノ)"とは異なります。「果実」は種子植物で、花が受粉して、めしべの基部の子房(シボウ)が大きくなって出来る器官を意味します [植物Q&A 2012-07-12 https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2680]。
[出典]
- 論文 "Releasing a sugar brake generates sweeter tomato without yield penalty" Zhang J, Liu H, Chen J [..] Huang S. Nature 2024-11-13. https://doi.org/10.1038/s41586-024-08186-2 [所属] Institute of Vegetables and Flowers (北京), Agricultural Genomics Institute at Shenzhen, Institute of Vegetables (済南市), Institute of Chinese Materia Medica, China Agricultural U, Yunnan Normal U (昆明市), China National Institute of Standardization, Institute of Botany (北京), National Key Laboratory of Tropical Crop Breeding (海口市), Cornell U.
- NEWS "CRISPR builds a big tomato that’s actually sweet" Kozlov M. Nature 2024-11-13. https://doi.org/10.1038/d41586-024-03722-6
トマトの糖度は消費者の嗜好と高い相関関係にあり、多くの消費者はより甘いトマトを好む。ところがこれまでの市販品種の糖度は一般に低かった。これは糖度が果実の大きさと逆相関しているためであり、生産者は風味よりも収量を優先してきたからである。
中国の研究チームはまず、トマト(Solanum lycopersicum)において、糖生成のプレーキとして機能するカルシウム依存性プロテインキナーゼ/CDPK 27(Sl CDPK27;別名Sl CPK27)とそのパラログであるSl CDPK26の2つの遺伝子を同定した。これらのキナーゼは、スクロース合成酵素をリン酸化し、スクロース合成酵素の分解を促進することで、糖生成のブレーキとして働く。
遺伝子編集によるSl CDPK27とSl CDPK26のノックアウト(KO)は、グルコースとフルクトースの含量を最大30%増加させ、果実の重量や収量に影響を与えることなく知覚される甘さを向上させた。このKO変異体では種子が少なく軽いものの、発芽は正常であった。
これらの知見は、トマトの果実の糖蓄積を制御する調節機構に関する洞察を深めるとともに、果実の大きさや収量を犠牲にすることなく、果実品種の糖含量を増加させる機会を提供する。
[トマト品種関連crisp_bio記事(2021年12月以後から抜粋)]
- 2024-09-13 双子葉植物に最適化されたプライム編集 (PE) により, トマトとシロイヌナズナで遺伝可能な所望の編集を実現
- 2024-09-13 CRISPR-Comboによるトマトのゲノム編集
- 2024-08-23 CRISPR/Cas9遺伝子編集により, トマトのうどんこ病耐性とフィットネスの維持を両立
- 2023-10-25 ペクチン分解酵素のCRISPR DKOにより、トマトの品質を維持したまま日持ち性を改善
- 2023-09-01 [レビュー] CRISPR/Casゲノム編集によるトマトの品種改良の進歩と応用
- 2022-09-30 トマトの色をCRISPR/Cas9による多重遺伝子編集を介して制御する
- 2022-01-27 Target-AIDによりトマトの育種形質および植物ホルモン情報伝達を改変
- [20211217更新] 日本で初のゲノム編集食品 (トマト)流通へ
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