[注] ペプチドをベースとするナノ粒子(Peptide-Based Nanoparticles: PBN)は, 脂質ナノ粒子 (LNP)に比べると、治療用ヌクレオチドの全身的な肝外送達の能力を示すだけでなく、化学的多様性と機能的可能性を帯びていることから、異なるタイプの核酸を送達する柔軟な構造設計とターゲティング戦略を取ることが容易である。
[出典] "Enhanced CRISPR-Cas9 RNA system delivery using cell penetrating peptides-based nanoparticles for efficient in vitro and in vivo applications" Guzman Gonzalez V [..] Divita G, Faure V. J Control Release 2024-11-11. https://doi.org/10.1016/j.jconrel.2024.11.008 [所属] U Grenoble Alpes, DivinCell SAS, Aadigen LLC.
フランスと米国の産学研究チームが今回報告するADGNペプチドと称する膜透過性ペプチドは、長いmRNAとCRISPRの構成要素 (Cas9 mRNAとsgRNA)と安定した自己組織化ナノ粒子を形成し、in vitroおよびマウスin vivoでのmRNA発現と遺伝子編集の両方を改善することができる [Fig. 1引用右図参照]。 ADGNペプチドは、PBNファミリーの一つとしてよく知られているCADYを、より長いmRNAの送達を可能にするように改変したペプチドである。ADGNペプチドは、様々な細胞種の細胞膜を通過する能力があり、なかでもラミニン受容体を過剰発現しているがん細胞を好み、かつ、RNAを細胞質に送達する前に保護する。
実証実験では、ADGNペプチドがin vitroでCRISPR-Cas9を介したルシフェラーゼ遺伝子のノックアウトを有意に促進することが確認された。さらに、これらのナノ粒子をマウス生体内に静脈内投与することで、マウスに定位移植した肺腫瘍細胞にCRISPR-Cas9システムを機能的に送達し、マウスにおいて効果的な遺伝子ノックアウトを実現できることが実証された。また、ADGN-RNAの生体内分布は、ペプチドとRNAのモル比に影響されることも明らかにされた。
[関連crisp_bio記事抜粋]
- 2024-09-23 [総説] 膜透過性ペプチドとCRISPR-Cas9:ヒト遺伝子疾患治療のための複合戦略
- [20231025更新] Cas9 RNPを両親媒性膜透過性ペプチドLAH5を利用して送達することで安全かつ効率的な遺伝子編集と変異修正を実現
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