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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "Deciphering Cas9 specificity: Role of domain dynamics and RNA:DNA hybrid interactions revealed through machine learning and accelerated molecular simulations" Panda G, Ray A. Int J Biol Macromol. 2024-11-18. https://doi.org/10.1016/j.ijbiomac.2024.137835 [所属] Indraprastha Institute of Information Technology (New Delhi);グラフィカルアブストラクト 

 CRISPR/Cas9技術は遺伝子編集に広く用いられているが、治療応用においてはオフターゲッティングが依然として大きな懸念となっている。そこで、ミスマッチ識別に優れた高い特異性を備えたCas9変異体が開発されているが、野生型のSpCas9に対してオンターゲットでのDNA切断率が著しく低いきらいがある。ニューデリーを拠点とする研究チームが今回、機械学習と原子レベルで長時間にわたるガウス加速分子動力学 (GaMD)シミュレーションとを用いて、SpCas9と比較しながらFnCas9の高い特異性の背後にある構造的要因を解明した。
  • オフターゲット部位においてRNA:DNAヘテロ二重鎖では多くの構造転移が起きコンフォメーションが大きく変化するが、FnCas9では変化が小さい。
  • FnCas9はSpCas9よりもオフターゲットの識別に優れており、タンパク質の特徴が大きな役割を果たしている。
  • FnCas9ではRECローブが強固に結合しているのに対し、SpCas9ではNUCローブの結合親和性が高い。
  • FnCas9では、REC2ドメインがアロステリックな情報伝達に関与せず(REC3とHNHドメインが直接関与し)、情報伝達経路が短くなり、SpCas9よりも情報伝達効率が向上している。
 今回得られた知見は、高い特異性の構造的基盤を理解するための定量的な枠組みを提供し、ゲノム編集アプリケーションにおいて精度と特異性を向上させたCas9変異体の合理的な設計に貢献する。

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