[出典] "Dimerization of the deaminase domain and locking interactions with Cas9 boost base editing efficiency in ABE8e" Arantes PR, Chen X, Sinha S, Saha A [..] Lapinaite A, Palermo G. Nucleic Acids Res. 2024-11-21. https://doi.org/10.1093/nar/gkae1066 [所属] UC Riverside, UC Irvine School of Medicine, Arizona State U
アデニン塩基エディター(ABE)は、点突然変異によって引き起こされるヒトの遺伝病治療のツールとして有望である。
一連のABEsは、不活性化したCas9とニッカーゼ(nCas9)に転移RNA(tRNA)アデノシンデアミナーゼ酵素を組み合わせ、DNAを脱アミノ化する能力を付与する指向性進化法によって創成された [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]。しかし、進化したABEが効率的にDNAを脱アミノ化する分子メカニズムは未解明のままである。
一連のABEsは、不活性化したCas9とニッカーゼ(nCas9)に転移RNA(tRNA)アデノシンデアミナーゼ酵素を組み合わせ、DNAを脱アミノ化する能力を付与する指向性進化法によって創成された [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]。しかし、進化したABEが効率的にDNAを脱アミノ化する分子メカニズムは未解明のままである。 米国の研究チームが今回、広範な分子動力学シミュレーションと生化学的実験により、ABE8eの驚くべき塩基編集効率の生物物理学的基盤を明らかにした。ABE8eのDNAデアミナーゼドメインであるTadA8eは、tRNAデアミナーゼの前駆体と比較して極めて安定な二量体を形成すること、そしてTadAの二量体形成の強さがDNAの脱アミノ化に極めて重要であることを特定した。
TadA8eの二量体は、そのR98とR129残基、Cas9のRuvCドメイン、DNAを含む強固な相互作用を形成する。これらの相互作用は、前身のABE7.10には見られないABE8e独特のものであり、DNAの脱アミノ化を促進するために不可欠であることが明らかになった。
さらに、ABE7.10からABE8eに進化させた際に、酵素の活性と安定性のバランスをとり、TadA8eの二量体を強化し、ABE8eの機能性を向上させることで、ABE8eを塩基編集の改良に向けて進化させる3つの重要な残基を同定した。T111RとD119Nという2つの重要な置換の相互作用が、DNAの脱アミノ化率を高め、複合体の安定性のバランスをとる一方、H122NがTadA二量体の安定化に寄与し、最終的に複合体の機能性を向上させることが、特定された。
今回得られた知見は、より優れたABEを設計し、より安全な精密ゲノム編集ツールの設計を進めるための新たな方向性を提供するものである。
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