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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[注] Beauveria bassiana(昆虫病原性糸状菌ボーベリア・バシアーナ)
[出典] "CRISPR-Cas9-mediated enhancement of Beauveria bassiana virulence with overproduction of oosporein" Mascarin GM, Shrestha S, de Carvalho Barros Cortes MV, Ramirez JL, Dunlap CA, Coleman JJ. Fungal Biol Biotechnol. 2024-11-21. https://doi.org/10.1186/s40694-024-00190-5 [所属] Brazilian Agricultural Research Corporation, Auburn U, National Center for Agricultural Utilization Research (USDA)

 昆虫に対して病原性を示す真菌をベースとする殺虫剤は、環境にやさしい反面、作用が緩慢であることが多く、効果的な害虫防除を達成するためには、高用量で繰り返し散布する必要がある。これらの限界に対処するため、ブラジルと米国の研究チームがCRISPR-Cas9ゲノム編集を用いて、Beauveria bassiana の病原性を強化した。

 具体的には、昆虫の免疫応答を阻害し、菌の病原性を促進するのに重要な二次代謝産物であるオスポレインの生合成を抑制する転写抑制因子であるBbsmr1 遺伝子をノックアウト(KO)した。このKO株は、野生株と比較して著しく高い病原性を示した。

 このアプローチは、より強固で効果的な昆虫病原性真菌を開発し、化学農薬への依存を減らすことで持続可能な農業に貢献することが期待される。
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