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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Lipid Nanoparticle-Mediated CRISPR-Cas13a Delivery for the Control of Bacterial Infection" Kim B [..] Kim D, Ryu CM. Adv Healthc Mater. 2024-11-24. https://doi.org/10.1002/adhm.202403281 [所属] Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnology, Gyeongsang National U, Yonsei U College of Medicine, Chosun U, UCSD (兼任). 

 脂質ナノ粒子(LNP)は、COVID-19ワクチンで実証されたように、ヒトを含む動物細胞内への核酸送達に有効であったが、細菌への適用はこれまで報告されていない。韓国の研究チームが今回、異なる脂質成分のランダムな組み合わせを含む511種類のLNPをスクリーニングした結果、大腸菌BW25113にプラスミドを効率的に送達する2種類のLNP、LNP 496とLNP 470、を同定した。

 グラム陰性菌は脂質二重膜を持っていることから、菌膜を弱めるLNP-helperで菌体を前処理した。カチオン性脂質DOTAPが、LNP中に10-25 mol%のモル比で存在すると、LNPカプセル化プラスミドDNAの送達が改善された。

 Cas13a/gRNA発現ベクターのLNPカプセル化は、細胞膜破壊剤であるポリミキシンBの非細胞毒性濃度での併用により、ハチノスツヅリガ(Galleria mellonella)幼虫およびマウス感染モデルにおける臨床Escherichia 株の感染を抑制した [論文Figure 1参照]。

 この結果は、LNPが病原性細菌感染に対抗する薬剤の送達プラットフォームとして有用であることを示している。
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