[出典] "SPLICER: a highly efficient base editing toolbox that enables in vivo therapeutic exon skipping" Miskalis A, Shirguppe S, Winter J [..] Perez-Pinera P. Nat Commun. 2024-11-28. https://doi.org/10.1038/s41467-024-54529-y [所属] U Illinois Urbana-Champaign.
著者らは今回、SpCas9をベースとする塩基エディター(BE)によるエクソンスキッピングに対して、 SpRY Cas9をベースとする塩基エディターのツールボックス、SPLICER(Synchronized PAM-less spLice sIte C. onversion with bas E edito Rs)、によって、SpCas9ベースのBEの課題を解決した。
[SpCas9をベースとするBEの課題]
- ネイティブなSpCas9タンパク質は、標的遺伝子座近傍のNGGプロトスペーサー隣接(PAM)モチーフを持つスプライス部位しか標的とできない。
- 第一世代のBEで最も一般的に用いられているアデノシンおよびシトシンデアミナーゼドメインは、文脈依存的な嗜好性を持っているため、様々なスプライス部位の効果的な編集を妨げる可能性がある。
- SpCas9 BE技術でスプライス部位を編集できたとしても、多くのエクソンにはスプライソソームが認識できるスプライス部位が存在しないため、部分的なスキップにつながる可能性がある。さらに、クリプティックなスプライシング配列に加えて、SAまたはSD部位を標的にすることで、成熟転写産物中にイントロンが部分的または完全に保持されることがあり、その結果、オープンリーディングフレームに新規配列が組み込まれたり、発現を望ましくない形で抑制する可能性のある未成熟終止コドンが誘導されることがある。
[SPLICER]
SPLICERは、ほぼPAMレスのSpRY Cas9 [*]をベースとすることでSD部位とSA部位の同時ターゲティングを可能にする強化されたデアミナーゼドメインで構成され(SpRY-ABE8eと SpRY-CBE4max)、クリプティック・スプライシングやイントロンの保持などの異常なスプライシングの結果を減少させ、これまでスキッピングに対する耐性が強いとされてきたエクソンのスキッピングを可能にする。
[*] PAMの条件が緩和されたSpCas9バリアントの中で、SpRY Cas9はネイティブPAMを標的としたSpCas9に匹敵するNRNおよびNYN PAM部位におけるDNA編集活性を実証し、また、xCas9-NG、SpCas9-NG、およびSpG Cas9よりも多くのターゲットを編集した。
編集効率で見ると、テストしたすべての部位について少なくとも5%の編集効率を示し、SpRY-ABE8eとSpRY-CBE4maxの平均編集効率は、それぞれ約31%および約35%と、SpCas9 ABE8eおよびSpCas9 CBE4maxのそれぞれ~9.5倍と~9.7倍に達した。
SPLICERの性能は、アルツハイマー病の患者にみられるアミロイド沈着に寄与するとされるアミロイド前駆体タンパク質(APP)をコードする遺伝子のエクソン17のスキッピングを誘導できることで、実証された。SPLICERはin vitroでAβ42ペプチドの形成を減少させ、アルツハイマー病モデルマウスにおいて効率的なエクソンスキッピングを媒介した。
[関連crisp_bio記事]
- CRISPRメモ_2018/08/19 [第1項] CRISPR-SKIP:塩基エディタによるプログラム可能な遺伝子スプライシング
- CRISPRメモ_2020/04/26 [第6項] スプライス部位を標的とするBE4とABE7.10によって、初代細胞においてタンパク質を高効率で破壊;SpliceR
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