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[出典] NEWS "Publishers are selling papers to train AIs — and making millions of dollars" Kwon D. Nature 2024-12-09. https://doi.org/10.1038/d41586-024-04018-5

 生成AIの人気が爆発的に高まって以来、いくつかの学術出版社は、AIツールの基礎となる大規模言語モデル(LLM)の学習にコンテンツを利用しようとするテクノロジー企業と契約を結んでいる。この状況を把握するために、2024年10月にどのような契約が、誰によって結ばれているかをカタログ化するトラッカー "Generative AI Licensing Agreement Tracker" が、ニューヨークの高等教育コンサルティング会社Ithaka S+Rの図書館・学術コミュニケーション・博物館担当Roger Schonfeld副社長らによって作成された。このトラッカーには現時点で、生成AI関連企業と、Wiley、Sage、Taylor & Francisを含む主要学術出版社6社との間のライセンス契約に関する情報が含まれている。

 多くの出版社は、コンテンツをジェネレーティブAI企業にライセンス供与する(あるいは供与しない)ことが収益にどのような影響を与えるか、また、この分野でいち早く行動することのリスクやメリットといった問題を検討している、Schonfeldは言う。

 2024年、複数の大手出版社がAIのライセンス契約で利益を得た。5月、Taylor & Francisの親会社である英国のInforma社は、マイクロソフト社にコンテンツをライセンスする1000万米ドルの契約を結んだと発表した。Taylor & Francisの広報担当者は声明の中で、「このようなライセンス活動は、学術研究出版社にとって重要な責務であり、著者のアイデアが可能な限り貢献することを保証する我々の継続的なコミットメントの一部です」と述べた。翌6月には、米国の学術出版社Wiley社が、生成AIモデルを開発する無名の企業との契約から2300万ドルを得たと発表した。9月、同社は「今年度、このような契約からさらに2100万ドルを得る見込みである」と発表した。ネイチャー誌の取材班は、Elsevier社やネイチャー誌の発行元であるSpringer Nature社を含む他の出版社数社に、ライセンス契約の計画があるかどうかについて問い合わせたが、コメントは得られなかった (ネイチャーのニュースチームは出版社から編集上独立している)。

 Taylor & Francisの広報担当者によれば、ロイヤリティは著者に支払われ、AIパートナーシップ契約には厳格な境界線が設定されているという。例えば、データやコンテンツはトレーニングにのみ使用することができ、いかなる場合でも同等のフォーマットで複製することは許されない。Wiley社の広報担当者は、著作権使用料は書籍の著者やその他の出版パートナーに支払われ、AIモデル開発者が著作権で保護された素材を許可なく使用していないか監視していると述べた。ネイチャー誌が接触した出版社のうち数社は、AIツールが自社のコンテンツがWebを介した無断で取り込まれることを防止する措置を講じていると述べた。一方で、Wiley社は、テクノロジー企業と協力してAIアプリケーションを開発することを目的とした「ワイリーAIパートナーシップ」と名付けられたプログラムを開始した。

 サイエンス誌を発行する非営利の学術出版社であるAmerican Association for the Advancement of Science(AAAS)など、まだ協定を結んでいない出版社もある。AAAS関係者によると、AAASは将来、特定の基準を満たせば、テクノロジー企業へのコンテンツのライセンス供与を検討する可能性があるという。これには、企業の信頼性の評価や、コンテンツを使って作成されるツールの有用性などが含まれる。

 研究者の中には、自ら生成したコンテンツについて、知らないうちに取引が行われることを危惧する者もいる。この問題に対処するため、いくつかの出版社は著者をプロセスに参加させる措置をとっている。ドイツのDe Gruyter Brillは、著者向けの情報ページを作成し、生成AI開発者と正式な契約を結ぶ計画について説明している。同社の関係者は、「著者の中に、AIの社会的影響全体や我々の最近の発表に懐疑的であったり、懸念を抱いていることは方々がいることは十分に理解しています。私たちは、これらの著者の多くと直接関わり、彼らの懸念を理解し、私たちのアプローチと、正式な協定を結ぶことが唯一の道であると考える理由を説明しています」と述べている。

 Cambridge University Press & Assessment (CUPA))は、オプトイン・アプローチをとっている。すなわち、英国の出版社は、LLMを開発するテクノロジー企業にコンテンツをライセンスする許可を得るために、20,000人の著者に連絡を取った。CUPAによると、コンテンツのライセンスを拒否した著者は数人しかいなかったという。

 Generative AI Licensing Agreement Trackerの共同開発者のMaya Dayanは「ライセンス契約を発表してから著者とやりとりするのではなく、最初から著者と直接的にコミュニケーションをとる傾向が見え始めています」とコメントした。
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