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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[注] いわゆる「カスピ海ヨーグルト」はクレモリス菌FC株から作られている。
[出典] "Easy-Curing and pH-Regulated CRISPR-Cas9 Plasmids for Gene Editing and Plasmid Curing in Lactococcus cremoris " Garay-Novillo JN [..] del Solr G, Barra JL. Microb Biotechnol. 2024-12-20. https://doi.org/10.1111/1751-7915.70060 [所属] U Nacional de Córdoba, Centro de Investigaciones Biológicas Margarita Salas (Spain)

 2024-12-24 18.50.00アルゼンチンとスペインの研究チームが、容易に目的とする改変を加え、かつ、プラスミド・フリーなラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)株の樹立を可能とするプラスミドベースのCRISPR-Cas9遺伝子編集システムを開発した [FIGURE 1引用右図参照]

 Cas9ヌクレアーゼ遺伝子(P170由来のpH制御プロモーター下)と特異的ターゲティングのためのsgRNA(強力な構成的プロモーター下)の両方を発現する汎用性の高いシャトルベクターを、θ型pAMβ1プロミスキュアス・レプリコンとp15A oriをベースとして構築した。プラスミドターゲティング用にデザインされたベクターは、L. cremorisにおける低コピー数および高コピー数のプラスミド・キュアに極めて有効であり、そのターゲティング効率はcas9の発現を調節することによって調整可能であることが示された。

 染色体編集に関しては、λRed-phage Redβリコンビナーゼと大腸菌一本鎖DNA結合タンパク質(EcSSB)をコードする遺伝子を発現するプラスミドを用いて、二重相同組換え事象を促進する宿主非依存的方法を実施した。内在性の組換え装置またはRedβ-EcSSB支援組換えシステムを、前述の染色体標的CRISPR-Cas9プラスミドと結合させることにより、効率的に数千の遺伝子編集細胞を作製し、選択した。

 CRISPR-Cas9ベクターが宿主のフィットネスに与える影響を検証したところ、Cas9に関連する毒性は認められず、また、注目すべきことに、これらのベクターは、選択圧がない状態で細菌宿主細胞を増殖させた場合に、極めて高い損失率を示し、プラスミドフリーな遺伝子編集株をすぐ利用できることが、確認された。
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