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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2026-02-04 Nature Biotechnology 誌刊行論文としての書誌情報へと改訂し、ブログ記事タイトルも改訂 [(旧)膨大な進化データを介した深層学習によるCRISPR-CasのPAM工学 -->(新) CRISPR-Casの制約要件PAMをタンパク質言語モデルでカスタマイズする"Protein2PAM"登場]
2025-01-14 bioRxiv 投稿に準拠した初稿
[出典] "Customizing CRISPR–Cas PAM specificity with protein language models Engineering of CRISPR-Cas PAM recognition using deep learning of vast evolutionary data)" Nayfach S [..] Madani A. (bioRxiv. 2025-01-06). Nat Biotechnol. 2026-02-02. https://doi.org/10.1038/s41587-025-02995-0 [所属] Profluent Bio (Berkeley), U Washington Seattle, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School, Biological and Biomedical Sciences Program (Harvard U)

 CRISPR-Cas酵素によるゲノム部位の編集は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の認識を大前提としており、ひいては、ゲノム上で標的可能な領域が極めて限られている。一方で、機械学習をベースとするタンパク質工学は、特定のPAMを認識するように調整されたCasタンパク質変異体を効率的に生成する強力なソリューションを提供する。Profluent Bio社を主とする研究チームは今回、45,000以上のCRISPR-Cas PAMのデータセットをベースに進化を学習させた深層学習モデルProtein2PAMをNature Biotechnology誌から報告した。

 Protein2PAMは、タイプI、II、VのCRISPR-Casシステムにおいて、Casタンパク質から直接PAMの特異性を迅速かつ正確に予測する。In silicoでのディープ・ミューテーショナル・スキャン [*]を用いて、このモデルが構造情報を利用することなく、Cas9のPAM認識に重要な残基を同定できることが実証された。
[*] "Deep mutational scanning: a new style of protein science" Fowler DM, Fields S. Nat Methods. 2014-07-30. https://doi.org/10.1038/nmeth.3027

 タンパク質工学の概念実証として、Protein2PAMを用いてNme1Cas9を計算機的に進化させ、PAM認識の幅を広げ、in vitro条件下で野生型と比較してPAM切断率が最大50倍増加した変異体を生成した。

 この研究は、機械学習を応用してCas酵素をカスタマイズし、別のPAMを認識させることに初めて成功したもので、パーソナライズされたゲノム編集への道を開くものである。

[注] Protein2PAMは、Webサイト(https://protein2pam.profluent.bio/login)にてGoogleのアカウントでサインインすることで利用可能である。

[Profluent Bio関連crisp_bio記事と論文]
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