2025-01-20 17:40 訂正:ナノレンジの粒子 (NLP) 数の表記において、冪乗の上付き文字表示がされていなかった誤記を正しました。
[注] マイクロ/ナノプラスティック(micro/nanoplastics: MNPLs)
[注] マイクロ/ナノプラスティック(micro/nanoplastics: MNPLs)
[出典] "Teabag-derived micro/nanoplastics (true-to-life MNPLs) as a surrogate for real-life exposure scenarios" Banaei G [..] Marcos R, Hernández A, García-Rodríguez A. Chemosphere. 2024-11-11. https://doi.org/10.1016/j.chemosphere.2024.143736 [所属] U Autònoma de Barcelona, Sohag U (Egypt), Helmholtz Centre for Environmental Research - UFZ.
近年、極めて微細なプラスチック粒子が、人体に取り込まれとする報告、また、in vitroで細胞の機能に影響を与えるとする報告が続いている。最近では、ヒトにおいてプラスチック粒子の取り込みと炎症性腸疾患とが相関していることも報告された [Environ Sci Technol, 2022]。そうした粒子は環境に由来するものに加えて、飲料や食品に接するプラスチックに由来するものがあるが流出は温度をはじめとする様々な条件に左右されるとされている。

その結果、ティーバッグの材質はナイロン-6(NY6)、ポリプロピレン(PP)、セルロース(CL)であり、浸出液中にはマイクロファイバーとナノレンジの粒子 (nano-range particle: NPL) が存在することが確認された。NTAのデータから、放出されたNPLの数は8.18× 106 106/mL(NY6;138.4)、1.20× 109 109/mL(PP;136.7 nm)、1.35× 108 108/mL(CL;244 nm)、であった。次に、浸出液粒子をiDye Poly-Pinkで染色し、3種類のヒト腸管由来細胞(Caco-2、HT29、HT29-MTX)に暴露して、in vitroでの生体相互作用と粘膜物質の役割を評価した。
その結果、100μg/mLのNPLに24時間暴露した後、粘液を多量に分離する分泌する細胞のモデルであるHT29-MTX細胞において、PP-NPLの有意な取り込みが認められた。同様の取り込みは、HT29およびHT29-MTX細胞でもCL-NPLで観察されたが、NY6-NPLはCaco-2細胞で優先的に取り込まれた。
本研究は、プラスチック汚染の広汎な性質と、それが人間の健康に及ぼす潜在的な影響に関するエビデンスを増強し、食品包装におけるプラスチックの使用量が増加し続ける中、科学的研究と政策立案は、食品の安全性と消費者の幸福を確保するために、MNPL汚染がもたらす課題に取り組まなければならないことを示唆している。
[関連crisp_bio記事] 2025-01-29と2025-02-05に関連crisp_bio記事へのリンクを追加
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