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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "The relationship between long COVID, labor productivity, and socioeconomic losses in Japan: A cohort study" Konishi S (小西駿一郎), Msaki K (正木克宜) [..] Fukunaga K (福永興壱). IJID Regions. 2024-11-20/eCollection 2025 Mar. https://doi.org/10.1016/j.ijregi.2024.100495 

 2025年1月に入ってから新型コロナウイルスの感染状況に増加傾向が見え、12日の時点で前週の1.6倍近い3万4857人に達し、入院患者の数も295人増えて2,889人に達した (全国〜5,000医療機関からのデータ) [NHK NEWS WEB 2025-01-17 17:28]ロングCOVID(新型コロナウイルス感染症の後遺症)は、感染時の症状の軽重によらず発症するリスクがあるとされているが、今回、慶應大学を主とする研究チーム [*] によって、日本におけるロングCOVIDが労働生産性と患者の経済状態に及ぼす影響を分析した結果が発表された。

分析方法
  • 合計396人の患者を症状の進行度に基づいて3群に分類した:非ロングCOVID群;ロングCOVID回復群;ロングCOVID持続群。
  • 患者報告による転帰を3つの時間間隔で評価した: COVID-19診断後3ヵ月;6ヵ月;12ヵ月。
  • 労働生産性は、健康と労働パフォーマンスに関する質問票(WHO Health and Work Performance Questionnaire)を用いて測定したプレゼンティーイズム(presenteeism)と欠勤率によって評価した。
分析結果
  • ロングCOVIDは患者の52.7%に認められ、診断から1年後もロングCOVID症状が継続している患者は全体の29.3%であった。
  • 診断後3ヵ月、6ヵ月、および12ヵ月すべてにおいて、ロングCOVID持続群は、非長COVID群および長COVID回復群と比較して、絶対的プレゼンティーイズムに統計学的に有意な差が認められた(P<0.01)。
  • 労働生産性の低下による経済的損失は、COVID長期持続群で年間21,659ドル、COVID長期回復群で年間9008ドルと算出された(P <0.01)。
結論 

 ロングCOVIDによって時間の経過とともに労働生産性が顕著に低下することが明らかとなり、健康への影響に加えて、ロングCOVIDの社会経済的影響を緩和するために、ロングCOVIDへの早期発見と介入が求められる。

[*] 著者所属:慶應大/院 (医学部, グローバルリサーチインスティテュート, 経済学部, 経営管理研究科, 感染症学), 順天堂大呼吸器内科, 市立青梅総合医療センター, 川崎市立井田病院 (呼吸器内科, 感染症), さいたま市立病院呼吸器内科
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