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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Engineered CRISPR-Cas9 for Streptomyces sp. genome editing to improve specialized metabolite production" Kim DG [..] Oh MK. Nat Commun. 2025-01-21. https://doi.org/10.1038/s41467-025-56278-y [所属] Korea U (Dept Chemical & Biological Engineering), KAIST (Dept Biological Sciences, KI for the BioCentury & Graduate School of Engineering Biology)

 CRISPR-Cas9システムはストレプトマイセス属のゲノム編集に頻繁に使用されているが、オフターゲットでのゲノム切断による細胞毒性がその応用を制限している。韓国の研究チームは今回、これまでに無かった改変をCas9に施したCas9-BD、によってGC含量の高いゲノムを有する菌株において、野生型Cas9を用いた遺伝子操作の際に遭遇する課題に対処した。
  • Cas9-BDは、Cas9のN末端そしてまたはC末端に柔軟なグリシン-セリン・リンカーを介して、ポリアスパラギン酸(DDDDD)を付加したCas9改変体である。
  • Cas9-BDのオフターゲット切断活性は、野生型Cas9から劇的に低下したが、オンターゲット切断活性は野生型Cas9のレベルが維持された。
  • このオフターゲット切断の抑制は、Cas9-BDを高レベル発現させたときの細胞毒性を減少させ、ゲノム工学におけるCas9-BDおよびその触媒活性の不活性化版であるdCas9-BDの多用途な応用を可能にした。
  • すなわち、プロモーターの多重リファクタリング、BGCの同時欠失、および複数の代謝経路遺伝子の阻害が、ストレプトマイセス属の様々な種で実証された。
  • さらに、Cas9-BDを利用して、100kbを超えるような大規模なストレプトマイセスゲノムにおけるin vivo BGC捕捉法が実現された。
 本研究で開発したツールは、GC含量の高い様々な生物種ゲノムの遺伝子操作や菌株開発を加速することが期待される。

[図一覧]
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