[出典] "Optimization of genome editing by CRISPR ribonucleoprotein for high efficiency of germline transmission of Sox9 in zebrafish" Yang K, Cai L, Zhao Y, Cheng H, Zhou R. N Biotechnology. 2025-01-21. https://doi.org/10.1016/j.nbt.2025.01.009 [所属] Hubei Key Laboratory of Cell Homeostasis (Wuhan U).
ゼブラフィッシュでは、生殖系列細胞は体細胞よりもCRISPR/Cas9編集に耐性があり、その結果、ゼブラフィッシュの子孫における生殖系列伝達効率は低かった [J Genet Genomics, 2020]。CRISPR/Cas9編集による突然変異の生殖細胞系列伝達効率は、ゼブラフィッシュでは50%以下であった [Development, 2013]。第1染色体の1,029遺伝子の大規模なCRISPR/Cas9編集では、生殖細胞系列への伝達効率は61.8%であった [crisp_bio 2019-12-19]。このように、CRISPR編集による変異の生殖細胞系列への伝達効率は、ゼブラフィッシュにおける技術の最適化によって改善される可能性が残されている。
中国の研究チームは、NLSを結合したCas9タンパク質を合成し、最適化したPAM配列を用い、sgRNAの3'末端と5'末端の3塩基を2'-O-メチルと3'ホスホロチオエートで化学修飾し、Sox9s 遺伝子を標的とするCRISPRリボヌクレオタンパク質(RNP)複合体を1細胞期の卵黄嚢にマイクロインジェクションすることで [論文 Fig. 1参照]、ゼブラフィッシュのゲノム編集技術を最適化した。
この最適化により、ゼブラフィッシュ胚における遺伝子の両アレル編集を高効率で導入することに成功した。両アレル編集による変異体はF1世代で決定された。初期胚から分化した組織へのディープシーケンスとSox9a 編集細胞のマッピングから、編集された1つの顕性対立遺伝子が生殖系列を介して子孫に完全に伝達されることが明らかになり、この編集が初期の生殖系列細胞で起こることが示唆された。
CRISPR RNP編集は、長期間を要する交配プロセスとは対照的に、F0世代の生殖細胞においてホモ接合変異体の生成をもたらし、また、CRISPR/Cas9編集に対する生殖細胞抵抗性の問題を克服している。
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