キモシンは子牛などの反芻動物に見られる天然のタンパク質分解酵素であるが、チーズの製造過程に必須の産業用酵素として利用されている。酵母のクルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis )を細胞ファクトリーとする発酵により、世界的なチーズ消費需要の増大に対応した組換えキモシン生産が可能になったのである。
中国の研究チームが今回、K. lactis に最適化されたCRISPR-Cas9プラットフォームを用い、様々なコピーのプロキモシン発現カセット(prochymosin expression cassette: PEC)の標的染色体組込みにより、様々なキモシン生産(chymosin producin: CP)株, CP3i株, を構築した。これにより、最大3コピーまでのPECインサートの段階的な染色体蓄積とともに、キモシン収量が増加することが実証された。最終的に得られた最適なCP3i株は、シェイクフラスコ発酵で約1,200 SU/mL、バッチ式バイオリアクションで約28,000 SU/mLという高い組換えキモシン収率を達成した。
[出典] "Enhanced production of recombinant calf chymosin in Kluyveromyces lactis via CRISPR-Cas9 engineering" Zheng Y [..] Chan Z, Yang J, Peng W. Bioresour Technol. 2025-01-23. https://doi.org/10.1016/j.biortech.2025.132116 [所属] Wuhan Polytechnic U (College of Life Science and Technology), Marine Biological Resources Development and Utilization Engineering Technology Innovation Center, Hubei U (State Key Laboratory of Biocatalysis and Enzyme Engineering);グラフィカルアブストラクト参照
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