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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

 ショウジョウバエのような伝統的なモデル生物の研究がこれまで、生物の発生過程の遺伝的基盤の理解に多大な貢献をしてきた。しかし、モデル生物で得られた知見をモデル生物以外へと一般化する妥当性は、必ずしも保証されていない。
スクリーンショット 2025-01-27 13.30.00
 徳島大学を主とする研究チームが今回、完全変態昆虫であるショウジョウバエとは対照的な不完全変態昆虫であるフタホシコオロギ
Gryllus bimaculatus [右図参照] において、CRISPR/Cas9システムを利用して、標的ゲノムノックアウトと所望の配列のノックインを誘導する方法を確立した。

 誘導された突然変異の生殖細胞系列への伝達効率は、よく研究された他の実験室生物について報告されたものと同程度であり、イントロンを標的としたノックインでは、標的遺伝子の発現パターンに蛍光マーカーを可視化することにより、ノックイン事象を直接検出できる生存可能な繁殖可能な動物が得られる。

 このノックイン/ノックアウト法は、コオロギのゲノムが最近解読され、アノテーションがなされたことと相まって [Commun Biol., 2021]G. bimaculatus の機能遺伝学のための扱いやすいシステムとしての可能性を高めている。

[出典] "Establishment of CRISPR/Cas9-based knock-in in a hemimetabolous insect: targeted gene tagging in the cricket Gryllus bimaculatus " Matsuoka Y (松岡佑児) [..] Mito T (三戸太郎), Extavour CG. Development. 2025-01-07.
 https://doi.org/10.1242/dev.199746
 [所属] 徳島大, Harvard U (Dept Organismic and Evolutionary Biology, Dept Molecular and Cellular Biology), HHMI, Jagiellonian U (Poland) 
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