2025-03-13 ナノプラスチック・マイクロプラスチックの人体組織内蓄積に関する論文の質向上の提言がNature 誌に掲載された [crisp_bio 2025-03-13 プラスチックの微細な破片は、確かに、環境に残り続け, in vitro実験でヒト細胞に凝集体を形成するが, ヒトの組織への蓄積については証明されたとは言えない 参照]
2025-02-05 Nature Medicine誌刊行論文に準拠した初稿
環境中のマイクロプラスチックやナノプラスチック(microplastics and nanoplastics: MNP)の濃度が世界的に上昇しており、ヒトへの暴露や健康への影響が懸念されている [*]。ニューメキシコ大学が運営する健康科学研究センターの研究者を主とする研究チームが今回、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法、減衰全反射-フーリエ変換赤外分光法、エネルギー分散型分光法を用いた電子顕微鏡法など、組織のMNPを確実に検出するための手法を駆使して、故人の腎臓、肝臓、脳におけるMNPの存在を確認した。
2025-02-05 Nature Medicine誌刊行論文に準拠した初稿
環境中のマイクロプラスチックやナノプラスチック(microplastics and nanoplastics: MNP)の濃度が世界的に上昇しており、ヒトへの暴露や健康への影響が懸念されている [*]。ニューメキシコ大学が運営する健康科学研究センターの研究者を主とする研究チームが今回、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法、減衰全反射-フーリエ変換赤外分光法、エネルギー分散型分光法を用いた電子顕微鏡法など、組織のMNPを確実に検出するための手法を駆使して、故人の腎臓、肝臓、脳におけるMNPの存在を確認した。
これらの臓器中のMNPは主にポリエチレンからなり、他のポリマーの濃度は少ないが有意であった。脳組織は、肝臓や腎臓のプラスチック組成と比較して、ポリエチレンの割合が高く、電子顕微鏡により、単離された脳MNPの性質が確認され、その大部分はナノスケールの破片状であった。
これらの死者組織中のプラスチック濃度は、年齢、性別、人種/民族、死因の影響を受けなかった。死亡時期(2016年対2024年)は有意な因子であり、肝臓と脳の両サンプルにおいて、時間の経過とともにMNP濃度が上昇した(P = 0.01)。最後に、認知症と診断された死亡者の脳のコホートでは、脳血管壁と免疫細胞への顕著な沈着が観察された。これらの結果は、プラスチックの曝露経路、取り込みとクリアランス経路、そして潜在的な健康影響について、より深く理解する必要性を浮き彫りにした。
[出典] "Bioaccumulation of microplastics in decedent human brains" Nihart AJ, Garcia MA, Hayek EE [..] Campen MJ. Nat Med. 2025-02-03. https://doi.org/10.1038/s41591-024-03453-1 [著者所属] U New Mexico Health Sciences (Dept - Pharmaceutical Sciences, Internal Medicine, Pathology, Cell Biology and Physiology, Pharmacy Practice and Administrative Sciences, Earth and Planetary Sciences; Clinical and Translational Science Center), U Mexico (Office of the Medical Investigator), Oklahoma State U (School of Civil & Environmental Engineering), Grupo de Investigación en Rehabilitación de la Universidad del Valle (Colombia), Duke U Duke Center for Neurodegeneration and Neurotherapeutics)
[*] MNP関連crisp_bio記事とレビュー
- crisp_bio 2025-01-29 マイクロプラスチックは血中に入り, 脳血栓症を誘発し, 神経異常を引き起こす可能性がある
- "Should you worry about microplastics?" The Economist 2025-01-24;「プラスチックで包装された食べ物や飲み物を避け、化学繊維の使用を減らし、家庭のほこりを掃除することで、マイクロプラスチックへの暴露を減らすことは可能です。プラスチック容器を加熱するとマイクロプラスチックが大量に溶出するので、電子レンジで温めた調理済み食品やプラスチック製のやかんを避けることも有効です。」
- crisp_bio 2025-01-20 ティーバッグの紅茶や緑茶を飲むと, 極めて小さなプラスチック粒子も体内さらには細胞に取り込むことになる
- REVIEW "Twenty years of microplastic pollution research—what have we learned?" Thompson RC, Courtene-Jones W, Boucher J, Pahl S, Raubenheimer K, Koelmans AA. Science 2024-10-25. https://doi.org/10.1126/science.adl2746 [著者所属] U Plymouth (School of Biological and Marine Sciences), EA–Earth Action (Lausanne), U Vienna (Environmental Psychology Group), U Wollongong (Faculty of Business and Law), Wageningen U (Aquatic Ecology and Water Quality Management Group);グラフィカルアブストラクトとFig. 4 (ヒト体内分布図) 参照
- crisp_bio 2024-06-29 マイクロプラスチック:ペットボトルの水1Lあたり24万個含まれ, ヒトの血液, 肺, 精巣/精液に含まれる時代
- crisp_bio 2024-03-11 ヒトの体内にもマイクロ・ナノプラスティックが取り込まれている
- Review "The potential impacts of micro-and-nano plastics on various organ systems in humans" Ali N [..] de la Serna JB. eBioMedicine. 2023-12-06.
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